吉田鋼太郎「優しさと知性に裏打ちされた強さを持っている人はカッコいい」
自分はもうちょっと人間として優しくなれるのかなと思ったり
── 「おっさんずラブ」しかり、今回の『ハムレット』もそうですが、ずっと若い俳優さんたちとがっぷり組んでの仕事が続いています。最初に体力が落ちているとは感じないと仰っていましたが、体を鍛えることもしているのですか?
吉田 鍛えてはいないんですけど、歩くのだけはしています。朝晩1時間ずつ、ほぼ毎日犬の散歩で歩いてます。犬は各々好きなところに行って匂いを嗅ごうとするので、それを同じ方向に引っ張らなきゃいけない。なかなかの1時間です(笑)。 あとは娘ができたことが大きいですね。今3歳になったばかりで、遊ぶにしてもすごく体力を使います。── 3歳というと好奇心のかたまりですね! 吉田 外にいる時は一時も目を離せないですし、あれやこれやといろんなことを要求してきますから。肩車もするし、お馬さんにもなるし、ゾンビになって追いかけないといけない。可愛いけれど、もうホントに大変(笑)。 ── お嬢さんが生まれてからの環境の変化も、役者としてのご自分に影響がありますか?
吉田 60代で子供ができるとは思っていなかったので、それが自分に今後もどういう変化をもたらすのかはまったく未知です。 娘に対して抱く優しさを、広くいろんな人に向けて持たなきゃいけないのかなとか、もうちょっと自分は人間として優しくなれるのかなとか。今それを、自分で一生懸命感じながら生きています。 ── 最後に、そんな吉田さんが思うカッコいい大人像についても伺えますか? 吉田 性別を問わず、優しくて知性的な人に憧れます。優しくて知性的であることは、きっと強さにも繋がると思うので。優しさと知性に裏打ちされた強さを持っている人はカッコいいと思いますね。で、それがね、まさに僕の中ではハムレットなんです。
● 吉田鋼太郎(よしだ・こうたろう)
東京都出身。1997年に劇団AUNを旗揚げ。演出も手がける。蜷川幸雄演出のシェイクスピア作品に多数出演。2016年、彩の国シェイクスピア・シリーズ2代目芸術監督に就任。『アテネのタイモン』『ヘンリー五世』『ヘンリー八世』『終わりよければすべてよし』『ジョン王』を演出、『~タイモン』では主演も務めた。読売演劇大賞優秀男優賞、紀伊國屋演劇賞個人賞、芸術選奨文部科学大臣賞受賞。近年の舞台作品に、『シラノ・ド・ベルジュラック』(出演)『アジアの女』『スルース~探偵~』『ムサシ』(演出・出演)『ブラッド・ブラザーズ』(演出)、映像では映画「カイジファイナルゲーム」「孤狼の血LEVEL2」「CUBE」「極主夫道ザ・シネマ」「湯道」「ゆとりですがなにか インターナショナル」、ドラマは大河ドラマ「麒麟がくる」「おっさんずラブ」シリーズ「おいハンサム!!」シリーズ「善人長屋」「刑事7人」「監察の一条さん」などがある。