春高バレー 県立進学校の高崎、昨年3位の昇陽にストレート負け ただ一人の3年生、エースで主将の岩井将人「この舞台で戦ったことは自分の誇り」
「ジャパネット杯 春の高校バレー」第77回全日本バレーボール高等学校選手権大会第1日(5日、東京体育館)男女の1回戦が行われ、男子で26年ぶり3度目の出場となった県内有数の県立進学校の高崎(群馬)は、昨年大会3位の昇陽(大阪)に0-2のストレート負け。高崎史上初の3年生での春高出場を果たしたエースで主将の岩井将人は悔しさをにじませつつ、すがすがしい表情を見せた。 第1セットを13-25で奪われると、第2セットの序盤では先行したが、6-5からの5連続失点で逆転され、そのまま13-25で押し切られた。岩井は徹底マークされたこともあり、第1セットは2得点と抑え込まれたが、第2セットには強打やバックアタックを決めるなど本来の実力を少し見せた。 敗戦が決まると岩井は肩を落としたが、涙は見せず「自分たちがいつも通りのプレーができなかったのが悔しいです。チームを引っ張って勝たせるプレーができなかった」と冷静に試合を振り返った。 高崎は入試の偏差値69の県内有数の県立進学校。昨年度は東大に8人が進学し、福田赳夫、中曽根康弘両元首相を出した名門校だ。10人いた3年生のうち、昨年8月の全国高校総体後に9人が受験勉強のために引退。岩井がただひとりチームに残った。先に引退した9人の「一球入魂」や「翔べ」などというメッセージが裏側に書かれた青色のはちまきを巻いて、憧れのオレンジコートでプレーした岩井は「春高予選が終わってからは、受験に備えて部活を休まないといけないこともあった。バレー一本とはいかなかった。両方頑張るのは難しいけど、悔いはないです」と文武両道を貫いた選択に後悔はないと言い切った。 高崎OBの砂川智哉監督(31)は選手たちが大会中のバスでの移動中にも勉強をしていると明かし、「彼が高校のバレー人生を最後までやりきってくれたのかなと思います。大黒柱で、心のすばらしい選手です」と岩井をねぎらって、たたえた。 岩井は今月18、19日に実施される大学入学共通テストを受験し、第1志望の関東大学リーグで1部昇格を決めた東京学芸大に合格すれば、大学でもバレーボールを続けると明かした。「この悔しさは次の舞台につながると思う。自分のプレーには全然納得はいっていないんですけど、この舞台で戦ったことっていうのは自分の誇り」と胸を張った。(尾﨑陽介)