佐藤可士和×今村翔吾のシェア型書店〈ほんまる〉は出版業界の救世主になるか!?
直木賞作家の今村翔吾が東京・神保町に開店したシェア型書店〈ほんまる〉のブランディングを担う佐藤可士和に戦略を聞きました。 【フォトギャラリーを見る】 全盛期の2万店から半減し、現在も1週間に1店舗が閉店に追い込まれている書店業界。そのような状況に一石を投じようと、2店の経営に乗り出してきた作家・今村翔吾が東京・神保町にシェア型書店をオープンした。 「小説のストーリーを結末から逆算するように、本屋がなくなる前提からシェア型書店を構想した」という今村が、「ダメ元で」依頼した相手が佐藤可士和だ。
「さすが直木賞作家で、13枚もの達筆の手紙を読んでいたらストーリーに引き込まれて、最後は何か手伝わなきゃいけないのかな、と(笑)」。書店の消滅を食い止めるには、コンテンツやデザインだけでなく、システムから考えなければならない。そう考えた佐藤は〈ほんまる〉を「小さなモール」と定義した。シェア型書店の入居者「棚主」に貸し出す棚を主役に据え、稀少なツガ材を採用。さらに図書館で本のダミーとして使われる「代本板」を、看板代わりにデザインできるようにした。
「木のいい匂いがして、マニアックな個人の棚の隣に大企業の棚、という面白さがあります。僕も棚主になって、幼少期から現在まで影響を受けた本を販売しています」 早くも神保町の新名所となっているが、販売中の本は公式サイトでも確認可能。新たな書店モデルとして、全国展開も夢ではない!?
〈ほんまる〉
個人から企業や自治体まで、月額料金4,850円~で「棚主」になれるシェア型書店。出品から在庫管理、売上金確認までオンラインで完結。新刊書の仕入れも可能で、書店経営の経験が積める。東京都千代田区神田神保町2-23-5 北井ビル1F・B1 TEL 03 6272 9940。11時30分~19時。無休。
photo_Shin-ichi Yokoyama text_Akio Mitomi