トレンド追随クオンツファンド、24年成績は期待外れ-25年は有望にも
(ブルームバーグ): 市場のモメンタムを捉えて利益を上げるクオンツファンドにとって、2024年は良い年になるはずだった。しかし、日本株からココア先物、米国債に至るまで、あらゆる市場でボラティリティーの急上昇が起こり、期待は裏切られた。
株式と商品がそろって上昇したことで08年以来最高の年明けとなった後、トレンド追随型のファンドは市場の混乱で利益のほぼすべてを失った。このカテゴリーのファンドを追跡するソシエテ・ジェネラルの指数は2%の上昇で年を終えた。
トレンド追随型ファンドにはさまざまな規模や運用期間のものがあるが、欧州株、エネルギーと金属相場の反転や債券市場の激しい変動の影響で、昨年7-12月(下期)には全般に、損失を被ったり横ばいの成績となるファンドが多かった。
19億ドル(約3000億円)規模のバータス・アルファシンプレックス・マネージド・フューチャー・ストラテジー・ファンドは昨年5月には12%上昇していたが、通年では3%のマイナスリターンとなった。ダン・キャピタル・マネジメントは旗艦ファンドが3月時点で34%の利益を上げていたが、7%のリターンで年を終えた。IASGのデータが示した。
元メリルリンチのオプショントレーダーが設立したマルバニー・キャピタル・マネジメントは農産物の好調な動きにより、5月時点で150%近い利益を上げていたが、年末までに83%に利益が縮小した。
アルファシンプレックス・グループのチーフ調査ストラテジスト兼ポートフォリオマネジャー、キャスリン・カミンスキー氏は「トレンド追随戦略は、一つ以上のの資産クラスで明確かつ持続的なトレンドがある場合に最も効果を発揮する」と説明。昨年は「市場は金融政策の対応に基づいて大きく変動した。最終的に対応はあったが、市場が予想していたほど迅速でも強力でもなかった」と指摘した。
主要なコモディティーの反転に加え、変動の激しい債券および為替市場が4-6月(第2四半期)と7-9月(第3四半期)に成績を圧迫した。