「エース張本の負けパターンが続いた」…なぜパリ五輪卓球男子団体準決勝で日本は死闘の末スウェーデンに敗れたのか?
パリ五輪卓球の男子団体準決勝が7日(日本時間8日)、パリ南アリーナで行われ、世界ランキング4位の日本が同7位のスウェーデンに2-3で逆転負けを喫し、銀メダルを獲得した2016年のリオデジャネイロ五輪に続く2度目の決勝進出を逃した。2試合を連取しながら第3、4試合を落とした日本は勝負の第5試合でエース張本智和(21、智和企画)が2ゲームを連取。勝利まであと一歩に迫りながら、アントン・シェルベリ(26)に立て続けに3ゲームを奪われた。3大会連続の表彰台をかけて、9日の3位決定戦で中国とフランスの敗者と銅メダルをかけて対戦する。 【衝撃映像】パリ五輪の男子棒高跳びで起きた“とんでも”ハプニングがSNSで世界中に拡散
涙で背中を震わせながらエースが崩れ落ちた。 2勝2敗で迎えた勝負の第5試合。日本の命運を託された世界ランキング9位のエース、張本が2ゲームを連取しながら粘る同24位のシェルベリに追いつかれた最終第5ゲーム。9-8とリードを奪い、決勝進出を決める勝利まであと2点に迫った状況から、立て続けに3ポイントを奪われて力尽きた直後の光景だった。 トータルで3時間半を超える死闘を終えた直後のフラッシュインタビュー。張本が涙をこらえながら声を絞り出した。 「みんなでメダルを取りたい、スウェーデンに勝ちたい。本当にそれだけでした」 第1ゲームでも第2ゲームでも、開始から立て続けに5ポイントを奪うなどシェルベリを圧倒。ともに11-5で制した張本だったが、7-11で落とした第3ゲームをへて第4ゲームに入ると、試合展開が明らかに変わってきた。 現役時代は日本代表のエースとして活躍し、1992年のバルセロナ五輪から4大会連続で五輪に出場した松下浩二氏(56)は、第4ゲーム以降の展開を「張本選手が負けるときのパターンが続いていた」と異変を指摘している。 「シェルベリ選手が開き直って攻めてきたなかで、第4ゲーム以降の張本選手は相手のバックにボールを集めすぎていた。そこでシェルベリ選手が逆に張本選手のバックに強いボールを打ち返し、その間に回り込んでからフォアハンドで得点を奪う展開が続いた。もっと相手のフォアサイドに攻めていれば、また違った展開になっていたと思う。 張本選手が負ける試合は、そのほとんどで、フォアで回り込む回数が少なくなる。バック一辺倒になって棒立ちになり、次第に防戦一方になってしまう。悪い試合展開が最後の最後に出てしまった。第5ゲームも9点目を先に奪っているが、相手のイージーなミスであげたものだった。スコア的には接戦だったかもしれないけど、内容的にはシェルベリ選手の方が圧倒的に上回っていたといわざるをえない」 メダル確定をかけた準決勝は、日本が圧倒的に優位に立った。 第1試合のダブルスで、戸上隼輔(22、井村屋グループ)と篠塚大登(20、愛知工大)が第2ゲームから3ゲームを立て続けに奪う逆転で先取。両チームのエース対決となった第2試合のシングルスでは、張本が今大会の男子シングルスの銀メダリスト、トルルス・モーレゴード(22)を3-1で撃破して王手をかけた。 しかし、準々決勝でドイツの連続五輪メダルを4大会で途切れさせたスウェーデンが、追いつめられた瀬戸際から底力を発揮しはじめる。 第3試合のシングルスは、世界ランキング16位の戸上が第1ゲームを制しながら、同61位のクリスティアン・カールソン(33)に3ゲームを連取されて敗れた。戸上が優位に立っていた展開が変わった要因を、松下氏はこう指摘する。 「第2ゲームからカールソン選手が戸上選手の攻撃を防ぐためストップを多用してきた。このストップに対して戸上選手の台上プレーでミスが目立ちはじめ、同時にベテランのカールソン選手を波に乗らせてしまった」
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