「エース張本の負けパターンが続いた」…なぜパリ五輪卓球男子団体準決勝で日本は死闘の末スウェーデンに敗れたのか?
第4試合は同42位の篠塚が第3ゲームを奪い、第4ゲームでもデュースに持ち込むなどモーレゴードに食い下がったが、最終的には1-3で落とした。 迎えた最後の第5試合で、張本に異変が起こっている。 第4ゲームを落とした直後と、第5ゲームで2-3となり、タイムアウトを取った直後にともにトレーナーが駆けつけ、左太ももあたりをマッサージしていたからだ。 各社の報道によれば、張本が左太ももの裏に違和感を訴えたという。 張本がフォアで回り込んで打つ回数が極端に減った、第4ゲーム以降の試合展開との因果関係を、松下氏も次のように推察している。 「左足の状態が悪くなったところへ、シェルベリ選手の開き直ったようなプレーが加わった結果として敗れた、というのはあるかもしれません」 もっとも、男子団体のパリ五輪はまだ終わっていない。決勝戦に先駆けて日本時間の9日17時からは銅メダルがかかった3位決定戦が、同じパリ南アリーナで行われる。相手は現地時間8日に行われるもうひとつの準決勝、中国とフランスの敗者となる。 世界ランキングは、中国の1位に対してフランスは3位。ただ、団体戦が実施された2008年の北京五輪以降、4連覇を継続中の中国の優位は動きそうにない。だからといって、大声援を受ける開催国フランスも、実力を含めて決して侮れない相手であり、日本が勝つためにはエース・張本の奮起が欠かせないと松下氏は言う。 「日本が銅メダルを手にするかどうかは、張本選手にかかっている。張本選手が2つのシングルスで勝ち、ダブルスを含めた残る3試合のうちひとつを取る、といった形でなければ、日本は勝機を見出せない。左足の状態もあるので酷な言い方になるかもしれないが、準決勝は偶然や相手にラッキーがあって負けたわけではないので、敗れたショックを引きずらずに、気持ちを切り替えて3位決定戦に臨んでほしい」 3位決定戦へ向けて、張本はこんな言葉を残している。 「やるしかない。勝ちたいとかどうでもいいので、ただひたすら頑張るしかない」 3大会連続となる五輪のメダルを手にして、4年後のロサンゼルス五輪へつなげるために。涙をぬぐった張本は、すでにエースの悲壮な覚悟を固めている。
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