2023年ドラフト“1年後検証”…「東都7人衆」“ドラ1投手大崩れ”の中で奮闘したのは? 目を引く西武の「大成功」《中日・日ハム・ヤクルト・西武編》
今年も大きな盛り上がりを見せたプロ野球のドラフト会議。だが、その真価が問われるのは実はずいぶん先のことでもある。それでも「1年」経てば、各球団の指名選手の見通しも見えてくる。「東都7人衆」などが話題を攫い、「大学生が空前の当たり年」と言われた2023年のドラフト指名選手たちの1年目は、果たしてどうだったのだろうか? 《全3回の1回目/#2、#3を読む》 【写真で比較】「わずか1年で…こんなに変わる?」新人王候補から一軍登板なし、まさかの戦力外通告まで…2023ドラフトで話題だった「東都七人衆」の明暗分かれた現在を見る 10月24日に「2024ドラフト」が行われて2週間あまり。 インターネット上では、その振り返りが盛んに伝えられているこのタイミングに、今年はあえて「2023ドラフト」……つまり、昨年のドラフトの振り返りをしてみたいと思う。 ドラフトの「成果・結果」が問われるのは、直後ではない。 もちろん「1年先」でもないのがほんとのところではあるが、1年経てば、ある程度見通しがつくというのも間違いないのは、ドラフト60年の歴史の中で、かなり有力な「経験則」にもなってきている。 というわけで、「2023ドラフト」から1シーズンを経過した今、その振り返りを行なって、今年のドラフトとの関連やチームの将来の行く末も展望してみたい。 12球団それぞれなので、長丁場になりますがどうか気長にお付き合いいただければと思います(※年齢は2023年時点)。
中日は「ドラ1投手」が早々にトミー・ジョン手術
【中日 2023年ドラフト指名選手】 ×度会隆輝 21歳 外野手 ENEOS 183cm83kg 右投左打 (横浜DeNA、ロッテとの抽選に敗れる) 1位 草加勝 22歳 投手 亜細亜大 182cm75kg 右投右打 2位 津田啓史 21歳 内野手 三菱重工East 181cm86kg 右投右打 3位 辻本倫太郎 22歳 内野手 仙台大 168cm73kg 右投右打 4位 福田幸之介 18歳 投手 履正社高 181cm84kg 左投左打 5位 土生翔太 22歳 投手 BC茨城 180cm93kg 右投右打 6位 加藤竜馬 24歳 投手 東邦ガス 185cm99kg 右投両打 【中日 総評】 1位・草加勝(投手・亜細亜大)が、右ヒジのトミー・ジョン手術によって、1年目は野球にならなかった。肝心の1位指名が土俵に上がれなかったのだから評価にもならないが、高校時代(岡山・創志学園高)にブルペンでその全力投球を受けた者としても、万全な状態でのカムバックを願う。 健全な体調を損なっている時は、休むことが前に進むことである。 ストライク先行の無駄球の少ない投球スタイル、オールローボールと評したいほどの制球力、それでいて150キロ近い速球を投げるパワー。なにより、「鬼の東都」で完封を連発した高い実戦力。 ドラフトに「たら、れば」は大ありなのであえて言うが、万全な体調にさえなれば、この草加投手、戦力にならないわけがない。 二塁手・田中幹也(112試合、打率.224、守備率.991)、三塁手・福永裕基(111試合・打率.306)、遊撃手・村松開人(109試合・打率.275・守備率.988)。今季2年目の内野手トリオが定着した模様なのは、今年の中日の数少ない「朗報」だった。それだけに、昨年の2位・津田啓史遊撃手(三菱重工East)、3位・辻本倫太郎遊撃手(仙台大)の指名はなんだったのか? 昨年の今ごろ、かなり疑問視されていたテーマを蒸し返されかねない状況だが、もしこの2人の内野手加入が、プロで1年先輩の3人にとって、胸元に刃を突きつけられたような「刺激」になったとしたら。それはそれで、チームに貢献した1年目だったのかもしれない。 今年のドラフトで、1位・金丸夢斗(関西大)、2位・吉田聖弥(西濃運輸)、5位・高橋幸佑(北照高)の左腕3人に即戦力捕手という腰の据わった指名ができたのも、内野陣定着というチームの「落ち着き」のせいではないか。 今季は主にウエスタンの三塁手として起用された津田選手。大学時代の本職・遊撃より二塁手としておよそ2倍の守備機会(ウエスタン)を得た辻本選手。津田三塁手が守備率.919、辻本二塁手が.977。共に守備の精度という課題が見えた今季。内野手は、どのポジションも心身の消耗が激しいだけに、「有事」に備えて、実力に遜色ないアンダースタディが欠かせない。 守備力をアップさせて、いつなんどき声がかかっても、即、穴が埋められる存在にレベルアップさせておきたい。そこが、レギュラーへの突破口にもなろう。
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