シューズもラケットも遠征交通費も自腹を切る…「先生が教える部活」が限界を迎えつつある3つの理由
■部活が終わる頃は「勤務時間外」 ②時間外労働の多さ 勤務時間は朝8時から夕方の16時30分がおおよその学校の標準です。さて、部活動を行うとしたら労働時間はどうなるでしょうか。知人や私の体験をもとにした事例を紹介します。実際の勤務の流れをイメージしながらお読みください。 通常、中学校では6時間授業です。大体終えるのが15時30分ごろ。そこから清掃、帰りの学活を終えると16時前後です。18時30分完全下校のため、部活動の時間は2時間程度です。本来ですと勤務時間はすでに超えています。 そのあとは、下校指導――いわゆる下校時の安全確認――が始まります。生徒たちの送迎の車が学校付近の公道に並んだりするので、その誘導をします。さらには生徒が適切に交通ルールを守って通行しているか、見守ったりもします。場合によっては安全確認のため、通学路を我々のクルマで見て回ったりすることもあります。 これらを終えて職員室に戻ると、すでに19時を回っています。ここからが残務処理の時間です。欠席者への連絡――1軒1軒家庭に電話をかけます。場合によっては折り返しを待ちます――次の日の授業準備、生徒指導が起きた場合はその記録や報告、その他校務や行事に関する仕事や年次に応じた研修に関することなど……やることは山積みです。 ■8時から21時、22時まで働くことも 一日を終えて体力がすり減った状況でのこの仕事量は、心身ともにダメージが大きいものです。これをある程度終えて帰宅できるのは――または諦めて帰宅するのは――20時過ぎです。 これに忙しい時期が重なると、21時、22時……となることもありました。家に帰っても、終わらなかった教材研究を行うこともあります。日付が変わっても次の日の準備が終わらないことは結構あります。 授業が一日あたり3~5コマあるので、それぞれの分の準備にも追われます。朝早く起きて準備することもありました。 このような平日を終え、週末も部活動はあります。朝7、8時ごろから13時ごろまで練習です。顧問には監督し、安全を確保する義務があるので、もち場を離れることはなかなかできません。練習試合等が入った場合は、より早い時間から会場の準備や片付けが必要となり、一日がかりになることは珍しくありません。遠い会場での試合だと、朝5時台に家を出ることもありました。