問題は「立地」でも「築年数」でもない…サラリーマン大家の“空室が埋まらない”致命的な理由【不動産投資のプロが解説】
投資物件の空室を埋められず、苦労している不動産投資家が増えています。空室を埋められない理由は「管理会社に任せきりにして、なぜ空室があるのかを十分にヒアリングしていないから」と、株式会社ピカいちの代表取締役・柳田将禎氏は言います。リフォーム投資のプロである柳田氏の著書『ピカいちのリフォーム投資 改訂版』から、不動産投資の空室対策において最も重要な考え方を見ていきましょう。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
空室のまま放置され続ける「低家賃物件」
昨今は人口減少、少子高齢化の問題がたびたびメディアで取り上げられ、それと同時に物件の供給過剰、空室率の上昇も話題になっています。 たしかに物件が有り余っている時代であり、今後もその勢いは加速するでしょう。すでに空室を埋められないで苦労している大家さんはたくさんいます。満室にできない物件に共通するのは、まずはエリア的な問題です。物件が過剰に供給されている状況、つまり競合物件がひしめいていると満室にするのは難しいといえます。 また供給過多だと、客付業者が動かないという問題も発生します。かつて家賃は上昇傾向にありましたが、今は何も対策を講じなければ下がることが基本です。 ほったらかしで客の付きにくい物件に対して、業者も労力を使ってわざわざ埋めようとはせず、彼らもまたほったらかしにするだけです。 そもそも、家賃が低い物件ほど儲けが薄く、かつ入居者属性が低くなりトラブルが起こる可能性が高くなります。管理会社の規模を超えて物件が増えすぎると、社員一人あたりの仕事量が増します。 今はIT技術も発達しているので、一人100戸以上担当することも不可能ではありませんが、トラブルが多い物件を抱えていると、そこで時間と労力が奪われるため数をこなせません。 そのため管理会社は家賃が高い物件から埋めていこうとします。家賃の高い物件とは、新築の物件を除けば、客付けできるパワーのある物件ということです。そして魅力のない家賃の低い物件は空室のまま放置され続けるのです。 自分の投資するエリアの「特別なニーズ」を把握することが重要 さらに恐ろしいのは、地方に乱立する大手メーカーのアパートです。サブリースで一括借上げの契約を結んでいるため、家賃が一律なわけですが、もしまとめて値下りするとなれば、周囲の物件も家賃を下げざるを得ない状況になります。そのようにして周辺相場が下がってしまった事例は全国にあります。 ただし、周囲に大手アパートメーカーの物件が建ち並ぶエリアでも、私の物件のようにしっかりと差別化をすれば負けません。 千葉県一宮町の実例ですが、新築をサーファー向けにプランニングしたケースがあります。 1階+2階のメゾネット形式で、20畳以上のリビングにくわえて、広々としたロフト付、外シャワー、玄関ホールは濡れても大丈夫なように床はタイル貼りで、サーフボードラック、ウエットスーツハンガーを備えています。 ウッドデッキやバルコニーには水栓・ガス栓があります。入口付近には外シャワーがあるため、海から上がって家に入る前にシャワーを浴びて砂を落とすこともできます。 こうしたコンセプト型の高級物件は、ある程度の都会ならともかく地方では苦戦するといわれています。 しかし、それもエリアによって事情は異なります。都内から来る人が多い場所もあるので、特別なニーズを読めれば十分投資に値するのです。 そのためには自分の投資するエリアに対しての深い理解が必要です。くわしくは後述しますが、しっかりと調査をする必要があるのです。