ウイリアムズ、ミック・シューマッハーを選ばなかったのは”特別”ではなかったから?「良いドライバーではあるけれど……」
ウイリアムズはF1イタリアGPから、ローガン・サージェントの後任としてフランコ・コラピントを起用することになったが、ミック・シューマッハーという選択肢がありながらもそれを選ばなかった理由について、彼が”特別”なドライバーではないからだとウイリアムズのジェームス・ボウルズ代表は説明した。 【リザルト】F1第16戦イタリアGP:FP2結果 ウイリアムズはすでに、来季アレクサンダー・アルボンのチームメイトにカルロス・サインツJr.を迎え入れることを決定済み。そんな中で、パフォーマンス不足を理由にサージェントの早期更迭に踏み切った。 サージェントに代わるドライバーの候補として、最も可能性が高いと見られていたのが、シューマッハーだ。2023年限りでハースのF1シートを失った彼は、現在メルセデスF1のリザーブドライバーを務めており、並行してアルピーヌからWEC(世界耐久選手権)に参戦している。 他にもレッドブル陣営のリアム・ローソンをレンタルする選択肢もあったが、結果としてチームはF2参戦中の育成ドライバー、コラピントを起用することを決めたのだ。チームのジェームス・ボウルズ代表曰く、ローソンは比較的早く候補から脱落したのだという。 現在レッドブルおよびRBのリザーブドライバーを務めているローソンは、2023年にダニエル・リカルドの代役としてF1に5レース出場し印象的なパフォーマンスを見せた。レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは、ローソンのためにフルタイムのシートを用意したがっているが、同時にリザーブドライバーとしての彼の役割の一部として、チームに呼び戻せることができるような条項を契約に盛り込むことを望んでいた。 ウイリアムズも突然ドライバーを失うような事態に陥るリスクを避けたかったため、ローソンのレンタルは実現しなかったのだ。 そのためウイリアムズはコラピントとシューマッハーのどちらかを選ぶことになったのだが、ボウルズ代表はハース時代からシューマッハーのパフォーマンスは向上しているとしながらも、”特別”なドライバーではないため、シューマッハーの起用に大きな意味はないと考えたようだ。 「選択肢を整理してみると、テーブルの上には3つのオプションがあった。1つはリアム・ローソン、もう1つはミック、そしてもう1つはフランコだ」 そうボウルズ代表は決断の背景について語った。 「リアムについては、レッドブルとの契約上の立場がウイリアムズにいる私とはうまく合致しなかっただろうから、そのような状況では選択肢には入らなかった」 「そして、フランコとミックのどちらを選ぶかは本当に難しい選択だ。ミックはハースにいた頃よりかなり成長した。それには疑いはない。彼は有能なドライバーであり、その間にアルピーヌ、メルセデス、マクラーレンで素晴らしい仕事をしてきた」 「ミックをマシンに乗せるか、それとも我々のアカデミーの一員であり、我々のシミュレーターで何百、何千周も走り、実車をドライブし、データからパフォーマンスの面で重要なステップを踏んでいると分かるドライバーに投資するかだったんだ」 「どちらも、良いドライバーだがスペシャルではないというカテゴリーに入ると私は思う。これについては率直に言うべきだと思う。ミックは特別ではなく、ただ良いドライバーなんだ」 ウイリアムズが若手ドライバーの育成に投資してきたリソースを考えれば、ここでアカデミー出身のドライバーを選ぶのは当然のことだとボウルズ代表は付け加えた。 ボウルズ代表は今季、コラピントが比較的小規模なMPモータースポーツに所属しているにも関わらず、F1パドックから高い評価を得ているアンドレア・キミ・アントネッリやオリバー・ベアマンをポイントランキングで上回っていたこと(ランキング6番手)に言及した。 「(シューマッハーは)フランコよりも多くの経験を持っていると思う。しかし、私が信じていること、ウイリアムズが信じていること、そしてウイリアムズのコアバリューはそこにある」 「ウイリアムズは常に新しい世代のドライバーや若者に投資してきたし、未来への投資は私がずっと話してきたことだ。それは過去に投資することではなく、個人として前進できるような才能に投資することなんだ」 「アカデミーにそれだけのリソースを投入するのであれば、言葉と同時に行動も示さなければならない」 「フランコはF2のランキングでアントネッリ(ランキング7番手)より上、ベアマン(同15番手)よりも上にいるんだ。彼はMPモータースポーツに所属している。MPには失礼だが、プレマでもARTグランプリでもないんだ。でも彼は良い仕事をしている」 「プールの一番深いところに(コラピントを)沈めた(試練を与えた)と思うか? そう思う。100%だ。しかしフランコ自身の言葉を聞けば、彼は準備ができていたと言っている。彼は挑戦する準備ができていて、何に直面することになるか分かっているんだ」
Jake Boxall-Legge