マスコミ対応のプロが斬る! 不倫夫の妻、謝罪の成功例と失敗例
2016年は新年早々、タレントから政治家まで、不倫報道があとを絶ちません。不倫をしてしまった本人の謝罪は当然と思えますが、被害者である妻が「私のせいでもある」と重ねて謝罪するのは、火に油を注ぐ結果になり、かえって印象を悪くしてしまうケースも。 このようなとき、妻はマスコミに対してどう対応したらよいのでしょうか? 広報コンサルタントの石川慶子さんがプロならではの視点で、不倫夫の妻の謝罪方法の成功例と失敗例を解説します。
珍しいことをすると余計に目立つ
乙武洋匡(おとたけ・ひろただ)氏が自身の公式サイトで、週刊誌で報道された不倫について16年3月24日に妻と共に謝罪文を公表しました。私の第一印象は「珍しいことしてしまった。妻が謝罪するとは今までにない新しいパターン。女性はなかなか共感しづらい。このような対応は賛否両論になるから報道が長引くかもしれない」。案の定、その通りになってしまいました。 私たち広報プロフェッショナルは、平時は企業のサービスや商品について報道で取り上げてもらおうと、新しい切り口、珍しいことを強調することで話題を作ろうと努力しています。ところが、不祥事になればなるべく報道されない方がよいわけですから、ありふれた情報に見えるにはどうしたらいいかと考えます。よくあることは面白くないので報道で取り上げる価値がないからです。たとえ取り上げたとしても一回で十分と思ってもらえればいい。 不倫はどこにでもある日常の風景ですから、目立たないような工夫はそれほど難しくはありません。ありがちは風景とは、夫の不倫に妻は怒るものの、夫が許しを請えば、妻はしぶしぶ許す。ここで妻が一緒に社会に対して「私も責任があるのです」と謝罪をしてしまうと女性達の共感を得ることができません。多くの妻は、不倫をした夫への怒りで気持ちが一杯で、自分の至らなさを認める余裕などないからです。たとえ、本当に妻にも責任があったとしても、そもそも性の問題というトップシークレットについて夫婦の真実はほかの人が知る必要もないことです。