「フラット35」をやめる銀行が増えている! みずほ銀行はすでに撤退、今後も廃止が続くのか?
フラット35の取り扱いをやめる銀行が増えています。みずほ銀行では公式サイトからフラット35に関する記載がなくなっており、公式発表はなかったようですが、ひっそりと取り扱いを中止していたようです。本記事では、フラット35から手を引く銀行が相次ぐ現状と、これからどうなるのか? などを銀行員が解説します。(金融ライター・加藤隆二、現役銀行員) 変動金利は2.6%まで上がる?! 銀行ごとに予測! 目次フラット35の取り扱いは年々減っているフラット35を取り巻く現状、相次ぐ取り扱い中止フラット35からの撤退が続くと考える3つの理由フラット35は今後どうなる?銀行員として「フラット35はこれからも必要」と考える理由
フラット35の取り扱いは年々減っている
フラット35を取り巻く現状を理解するために、まずは基本事項を解説します。 フラット35とは フラット35とは、銀行が融資した住宅ローンを住宅金融支援機構(以後「機構」)が買い取る仕組みのことで、「住宅ローンの証券化」と呼ばれるスキームです。 このため、フラット35は銀行の住宅ローン残高には含まれず、利用者が支払う利息も機構が受け取ります。こうした形態を銀行では「代理貸付」と呼びます。 以下は、フラット35の基本事項のまとめです。知識のブラッシュアップとして参考にしてください。 ・住宅ローン証券化の流れ (1)フラット35の取り扱い内容に基づき、銀行が融資した住宅ローンを機構が買い取る契約を結ぶ (2)買い取った住宅ローン(「住宅ローン債権」)を担保に、機構は「住宅金融支援機構債券」(資産担保証券と呼ばれる投資証券の一種)を発行し、市場から資金を調達する (3)機構は市場から調達した資金で、住宅ローン債権の買取代金を金融機関に支払う (4)金融機関では、フラット35の毎回返済の管理(返済口座の作成、返済が遅れた場合の督促など)を行う。申し込みから事務取り扱いなど、スタート時点からの事務取り扱いへの対価として、機構は金融機関に一定の手数料を支払う ・団体信用生命保険加入は任意 フラット35では団体信用生命保険(死亡時に保険金でローンが完済される生命保険)への加入が任意。そのため、病気などで団体信用生命保険に加入できず、銀行住宅ローンが利用できない人でも借り入れが可能 ・銀行ローンとは違い、住宅の基準が指定されている 銀行ローンにはないフラット35の特徴として、融資対象の自宅やマンションに対して、耐火性や建築方法などの細かい条件(「技術基準」)が指定されている ・融資手数料が必要 フラット35では融資手数料が必要で、一般に融資額の2.1%(税込)を利用者が借入時に支払う 【参考】住宅金融支援機構フラット35「証券化支援業務(買取型)の概要」 フラット35の取り扱い件数・新規貸出額の推移は? 銀行ではフラット35の取り扱いが減り続けています。下表は、フラット35・取り扱い件数の推移、民間住宅ローンとフラット35新規貸出額の推移です。 フラット35・取り扱い件数の推移 出所:住宅金融支援機構フラット35「フラット35利用者調査/融資区分別(建て方別)の集計件数」 <民間住宅ローンとフラット35新規貸出額の推移> 2023年の9カ月累計(4月~12月)では、以下の状況となっています。 ・国内すべての住宅ローン新規貸出額は15兆1,539億円(前年度比+0.2%増加) 【うち国内銀行】 11兆6千527億円(前年度比+4.7%増加) 【うち信用金庫】 1兆1千833億円(前年比+1.4%増加) 【うちフラット35】 7,306億円(前年度比▲37.9%減少) 出所:住宅金融支援機構フラット35「業態別の住宅ローン新規貸出額の概要 (2023 年 10-12 月期分)」(※フラット35は上記のうち「住宅金融支援機構(買取債権)」) 銀行や信用金庫など、民間金融機関の住宅ローンの増加に反比例するように、フラット35は取り扱い件数・新規貸出額ともに減少していることがわかります。 フラット35の販売・取り扱いをしているのは金融機関なわけであり、その金融機関が自前の住宅ローンを前面に出していれば、フラット35が減っていることも当然といえば当然でしょう。