「フラット35」をやめる銀行が増えている! みずほ銀行はすでに撤退、今後も廃止が続くのか?
今後もフラット35からの撤退が続くと考える3つの理由
銀行員として住宅ローンの現場にいる中で、今後も金融機関がフラット35から手を引いていくと考えています。個人的見解ではありますが、その理由を3つ紹介します。 ・まだまだ低金利の変動金利が人気だから ・銀行の住宅ローンで代替できるから ・銀行がフラット35以外で稼ぐ道を選んでいるからまだまだ低金利の変動金利が人気だから 「ゼロ金利解除」「金利のある世界」などのキーワードが注目され始めたのはつい最近のことで、住宅ローンではまだまだ変動金利型のほうが人気です。 そのため、変動金利と比べるとフラット35はどうしても高金利に感じられてしまうからです。 たとえば、住宅ローンの借入金利で最も多いのが「年0.5%以下」です。また、金利タイプは変動金利が全体の8割というデータがあり、「変動だから超低金利」といったニーズはまだまだ根強く人気があるので、フラット35の取り扱いが減少している要因のひとつになっていると言えます。 【参考】 1 住宅ローンの利用状況として、借入金利は「0.5%以下」、返済期間は「30年超~35年以下」、融資率は「90%超~100%以下」、返済負担率は「15%超~20%以内」が最も多い。 2 金利タイプは、「変動型」が8割に迫り、前回調査から 2.4ポイント上昇。「全期間固定型」は微増。 <利用した住宅ローンの金利タイプ> 「変動型」:76.9%(2023年10月調査 74.5%) 「固定期間選択型」:15.1%(同 18.3%) 「全期間固定型」:8.0%(同 7.2%) 出所:住宅金融支援機構フラット35「住宅ローン利用者の実態調査」 銀行の住宅ローンで代替できるから 低金利な変動金利型だけでなく、5年や10年といった一定期間の固定金利や、最終回返済まで金利が変わらない全期間固定金利も、銀行の住宅ローンではそろっています。 たとえば、金利だけ見てみれば以下の通りです。 ・フラット35:年1.95%(2024年7月、融資率9割超、融資期間21年以上35年以内) ・全期間固定金利:年1.55%(SBI新生銀行の2024年7月、手数料定率型、31年以上35年以内) 両者とも「保証料なし・事務手数料は融資額×税込2.20%」と条件は同じです。 もちろん、融資条件やその他の費用、そして審査から手続きまでを比較するなら、金利だけで一概に損得は語れないとは思いますが、現在は固定金利でフラット35と同水準の金利が出せる銀行住宅ローンもあるので、フラット35でなくても代替できてしまうのです。 それならば、金利が自社に入るオリジナルの住宅ローンのほうが、金融機関にとってはいいに決まっています。 銀行がフラット35以外で稼ぐ道を選んでいるから 銀行など金融機関がフラット35を取扱うメリットは手数料※でしたが、現在は銀行住宅ローンでも融資手数料が必要な形式が増えています。 そのため、手数料だけを考えるならフラット35に固執する必要性が薄れてきたことが、取り扱い減少の一因だと考えられます。 つまり、「2.0%の手数料は、自社の住宅ローンでも収益を獲得できる。だったら人気が落ちてきたフラット35を店先に並べていても意味がない」という理屈なのです。 ※フラット35を取り扱うことに対し、年に数回など一つの金融機関で取り扱った件数に対し手数料が還元されるのが一般的な流れです。こうした手数料総額などは公開されていません。フラット35を借りるときの事務手数料(融資額×税込2.0%)が原資にはなっていても、そのまま銀行が顧客の手数料をまるまる受け取るわけではありません。