「逆転無罪」2歳の義理の娘『虐待死』など問われた父親 懲役12年の一審 約5年半に及んだ勾留 電撃保釈から4カ月 二審は逆転無罪【今西事件】
■「脳幹損傷を起こすような『強い外力』を示す所見は全くない」改めて無罪主張した弁護側
去年10月の公判では、一審判決で「強い外力」がある根拠とされた頭部CT画像の解釈を巡って放射線科医2人の証人尋問が行われた。 去年11月には、頭蓋内の出血が生じた時期が、心肺停止前かそれとも後かについて2人の医師(検察側は法医学者、弁護側は小児科医)の証人尋問が行われた。 ことし5月の公判で、弁護側は「二審での検察側医師は『所見はないが隠れている』『病理所見で時期不明の出血が確認できる』と話すだけだった。脳幹損傷を起こすような『強い外力』を示す所見は全くない。一審は、硬膜下血腫があれば外力があるという予断が生んだ誤判だ」などと主張して、あらためていずれの罪も無罪だと主張した。
■「今西被告と義理の娘が2人きりとなった短い時間で起きていることなどを総合的に評価すれば暴行があったと認定できる」と検察側
一方、検察側は「解剖時の脳の写真は一部であり、脳幹損傷の所見はないとは断定できないはず。3つの罪は一連の事案で、被告と義理の娘が2人きりとなった短い時間で起きていることなどを総合的に評価すれば暴行があったと認定できる」などとして、一審の判決を維持するよう主張した。
■超異例の電撃保釈
今西さんは、再逮捕後は一度も保釈が認められず、大阪拘置所で5年以上勾留が続いていた。 弁護側の弁論の最後、主任弁護人の川﨑拓也弁護士は「二審での3年半、今西さんは拘置所にただ一人…彼の人生は歩みを止めている」と声を詰まらせ、それを聞いていた今西さんが涙をぬぐう場面もあった。 それから2カ月後の今年7月。 急に事態は動いた。再逮捕後、退けられ続けてきた今西さんの保釈請求が認められたのだ。
■「逆転無罪」
一審で長期実刑判決を受けているにもかかわらず、判決直前に保釈が認められる異例の決定で、逆転無罪の公算が高まっていた。 ただ、GPS装着による行動把握などの保釈条件で、今西さんの生活には制限があることは変わらず、今西被告は希望と不安な気持ちのままようやく判決の日を迎えた。 午前10時半から始まった判決で、大阪高裁は「総合判断を欠いている」「判断枠組みを誤っており合理性を欠いている」などど厳しく批判し、逆転無罪を言い渡した。
■ハンカチで涙をぬぐった今西さん。静かな法廷に響く裁判長の声。
主文で「一審の有罪部分を破棄する。被告人は無罪」と告げられた瞬間、隣に座っている秋田真志弁護士の方を向いた今西さん。 秋田弁護士は、傍聴席から見ていても分かるくらい、強い握手を交わし、今西さんの目は真っ赤になっていた。 その後、今西さんは川﨑拓也弁護士にも何か声を掛けた。 判決文の朗読が始まるとハンカチで涙をぬぐった今西さん。 再び法廷は静かになり、裁判長の声だけが法廷に響き続けた。 (関西テレビ 司法キャップ 上田大輔 2024年11月28日)
関西テレビ
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