『逆転無罪』2歳娘へ「虐待死」などの罪問われた父親 懲役12年の一審判決 約5年半に及んだ勾留 電撃保釈から4カ月 二審は『無罪』【今西事件】
■「脳が交通事故並みの強い外力を与えられたときと同じようなダメージを受けて心肺停止になった」と検察側
検察側が重視したのは、脳の深部にある「脳幹」だった。 解剖を担当した法医学者は、「脳幹が溶けて、泥のようになっていた」と証言。 検察は、この証言を前提にした脳神経外科医の証言などをもとに、「脳が交通事故並みの強い外力を与えられたときと同じようなダメージを受けて心肺停止になった」と主張。 当時2人きりだった今西さんが暴行したとして、傷害致死罪など3つの罪が成立すると懲役17年を求刑した。
■「病気が原因で心肺が停止し、脳が低酸素状態になって出血した」と無罪主張した弁護側
一方、弁護側は、解剖写真を見て「脳幹」が溶けていることは確認できず、(事件当日の)心肺停止後から死亡まで人工呼吸器を装着したことによる症状である『レスピレーター脳』の可能性があるので、外力があったことの証拠にならないと反論。 さらに、一審の公判前整理手続きの過程で、弁護側は心臓から新たに切り出された部分を顕微鏡で検査した結果、「心筋炎」を発見。今西さんが事件直後の説明と合致するとして、「病気が原因で心肺が停止し、脳が低酸素状態になって出血した」と無罪を主張した。
■1審の大阪地裁は懲役12年を言い渡す
2021年3月、大阪地裁(渡部市郎裁判長)は、「脳の損傷は脳幹を含む広範囲のものであり相当強い外力がないと生じない」と認定。 交通事故並みの強い外力があったとする検察の主張についても「交通事故といっても態様はさまざまであり、人の手によって加えることができないものとはいえない」として、傷害致死罪が成立すると判断。 強制わいせつ致傷罪の成立も認め(骨折についての傷害罪は無罪)、懲役12年を言い渡した。
■「こんなことになるなんて…ありえへん…」父親が拘置所でつづった日記
今西さんは拘置所内で毎日つけていた日記にその時の心情をつづっている。 「もうどうでもいい、もうどうなってもいい。こんなやってもないことで、こんなことになるなんて…ありえへん…」
■控訴した父親 二審でも8人の医師が証言台に立つ異例の展開
二審も引き続き川﨑拓也弁護士と秋田真志弁護士らが弁護を引き受けることになり、今西さんは控訴。 検察も無罪になった骨折に関する傷害罪について控訴した。 去年5月に大阪高裁(石川恭司裁判長)で始まった二審。一審では13人の医師への証人尋問が行われましたが、二審でも新たに8人の医師が証言台に立つ異例の展開となった。
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