【何が…】斎藤知事をめぐるパワハラ疑惑、公益通報、不信任、SNS選挙と再選…激動の兵庫県政の裏側 「公選法違反」「百条委員会」「情報流出疑惑」2025年も続く余波
■“全会一致”不信任のはずが…選挙戦で斎藤知事を支援「葛藤はあったが…知事の政策にも共感」
県議員の全員が斎藤知事に“NO”を突きつけたにもかかわらず、その2か月足らず後に実施された知事選で、一部議員は選挙期間中、応援に駆けつけ斎藤知事を支援した。 「(不信任決議への賛成に)もちろん葛藤はあったが、会派として決めたことなので、逆らうことはできなかった。自分自身は知事がパワハラをしたとは考えておらず、知事の政策にも共感できた」 斎藤知事を支援した「維新」会派の県議は、取材に対しこのように語った。維新県議団は、日本維新の会に所属していた清水貴之参院議員(当時)に出馬要請し、支援を決めていたため、斎藤氏を応援するのは“造反”ともいえる行動だ。 維新県議団の幹部は、「みんなで清水氏を支援しようと決めていたのだから、彼も支援するべきだった」とため息を漏らした一方で、「清水氏への支援は党議拘束をかけていなかったので、県議団で処分とはならない。また、彼らに今後も推薦を出すかどうかは党本部の問題なので分からない」と語った。
■公益通報をめぐり専門家「独裁者が反対者を粛清するかのような構図」 斎藤知事は違法性を否定
出直し選挙で再選を果たした斎藤知事は、「県民の負託に応える」と繰り返すが、その道が順風なものとは言い難い。その一つが、今も続く「百条委員会」の調査で、とりわけ『公益通報』をめぐる対応の是非は、大きな焦点だ。 斎藤知事側は3月に告発文書が報道機関などに送付されて以降、作成者の特定や内容の根拠などを調査した上で、文書の“誹謗中傷性”が高いと判断。「幹部や一部職員を誹謗中傷する文書を作成・配布し、県政への信用を著しく損なわせた」「勤務時間中に公用PCを使用して業務と関係ない私的な文書を多数作成した」などとして、元幹部職員に対し、停職3か月の懲戒処分を出した。元幹部職員は7月に死亡し、自殺とみられている。 この一連の対応について検証するため、百条委員会ではこれまで公益通報制度の専門家として弁護士や大学教授らを招致していて、9月6日の委員会では上智大学の奥山俊宏教授は「公益通報者保護法に違反する」と指摘し、「独裁者が反対者を粛清するかのような陰惨 な構図を描いてしまった」と断罪した。 12月25日に開かれた百条委員会でも、3人目となる専門家として結城大輔弁護士が招致され、元幹部職員を公益通報制度の保護対象とするべきだったかどうかについて、「(公益通報制度では)“通報者の不利益になるような取り扱いはしない”というのが前提。今回の県の対応は、告発者に不利益な扱いをしたということになるのではないか」として、県の対応などに疑問を呈した。 一方、同じ日に行われた“最後の証人尋問”で、斎藤知事は告発文書には『真実相当性』がなく、内部調査の段階で法的見解はもっていなかったとしたものの、結果として、公益通報者保護法が定める保護要件を満たしていないという認識を示し、尋問終了後、「法的にも適切だったと認識している」と改めて違法性を否定した。 百条委員会は今後、調査の“結論”を出す作業に入り、1月27日に報告書の確認が行われ、早ければ2月にも報告書をまとめる予定だ。さらに、百条委員会とは別に、外部の有識者を交えた「第三者委員会」の調査も続いている。