「小澤征爾さん、三宅一生さんとの交流が大きな力に」 チャレンジ精神で世界を魅了する建築家・坂茂【世界文化賞】
建築家の師はフライ・オットーさん
3人目は2006年に建築部門で受賞したドイツ人建築家のフライ・オットーさん。坂さんが学生時代から憧れていて、ハノーバー万博の日本館を作るときに協力してもらったのが縁だ。 坂さん: オットーさんのアトリエでのハノーバー博の打ち合わせは夢のような時間で、たくさんのことを学びました。僕はそれまで住宅とか小さいものは紙管で造ってましたが、大きなものは造ってなくて、オットーさんが細い木を組み合わせて巨大なシェルを造っていたので、紙管で巨大なシェルを造るノウハウを得ることができました。 同じ芸術でも、絵画、彫刻、建築、音楽、映画・演劇というまったく異なる5つの部門に共通した世界文化賞ならではの話である。 坂さん: こういう3人の方が過去に受賞している賞をいただいた、ということは信じられないことです。 こう語る坂さんに次世代を担う若者へのメッセージを聞いた。 坂さん: 僕は特に日本人の学生とか若い人に言うのは、旅をしなきゃいけない、ということです。それから留学してほしいです。僕がアメリカにいるときは、アジアで日本人が一番多かったんですけども、今は中国人の30分の1ぐらい、韓国人の5分の1から10分の1ぐらいしかいないです。 日本は世界に依存しないと成り立たない国ですから、世界を平和にしていかなかったら日本の将来の平和なんてあり得ないのです。ですから、若い人は日本みたいな安心なところで生活するのではなくて、もっと世界に出ていくべきだと考えています。 第35回高松宮殿下記念世界文化賞」の授賞式は11月19日、東京都内で開催される。
勝川英子