【図解】「施政方針演説」と「所信表明演説」の違いは?<国会用語>
首相が国会で演説している場面をテレビ中継などで見たことがある人も多いでしょう。実はこの演説、開かれた国会の種類によって「施政方針演説」と「所信表明演説」と名称が違います。よく似たこの2つの演説にはどんな違いがあるのでしょうか。 【図解】「通常国会」「臨時国会」「特別国会」の違いは?
「通常国会」か「臨時国会」「特別国会」か
どちらの演説も、衆議院と参議院の本会議で行われる点では同じです。しかし、以下の点で違いがあります。 施政方針演説は、首相が毎年1月に召集される通常国会で行う演説で、その年の内閣全体の基本方針を示すもの。一方、所信表明演説は、臨時国会の冒頭や、首相が選出される特別国会で行われる演説で、内閣の基本方針を示します。所信表明演説は、通常国会中でも首相が交代した場合には行われます。 通常国会では施政方針演説に合わせて、財務相の「財政演説」、外務相の「外交演説」、経済財政担当相の「経済演説」も行われ、「政府4演説」と呼ばれます。臨時国会や特別国会では、所信表明演説のみか、必要に応じて大臣演説も行われます。 ちなみに2021(令和3)年秋に第100代首相に就任した岸田文雄氏は、10月開会の臨時国会で所信表明演説を行いました。その月末に投開票された衆院選を経て、11月の特別国会で第101代首相に指名され、12月開会の臨時国会で再び所信表明演説を行っています。そして年が明けた2022年1月、通常国会で施政方針演説を行います。 こうした政府演説は1890(明治23)年の第1回帝国議会(山縣有朋内閣)から行われているといいます。
政府演説に対して行われる代表質問
こうした首相や大臣の政府演説に対して、各会派が質問する機会が設けられます。これが「代表質問」です。代表質問は、各党の党首・代表や幹事長クラスの有力議員が質問に立つことが多く、政府演説とともにテレビでも中継されます。衆議院と参議院でそれぞれ2日ずつ行われ、質問時間は基本的に所属議員が多い順に割り当てられます。 ただ施政方針演説や所信表明演説、それに対する代表質問は、憲法や国会関連法規上の明確な規定があるわけではなく、慣例によるものとして行われてきました。また、政府演説や代表質問は慣例的に衆議院から先に行われています。 ※「新・国会事典 第2版」(有斐閣)や首相官邸ホームページなど参照