ヘルシーなイメージが根づいた蕎麦。しかし決して「健康食」とまでは言えず…糖尿病専門医が誤解しがちな<肥満の仕組み>を解説
厚生労働省が実施した「令和4年 国民健康・栄養調査」によると、糖尿病が強く疑われる者の割合は、男性が18.1%、女性が9.1%だったそう。そのようななか、糖尿病専門医の矢野宏行先生は「血糖値や糖尿病について、誤解していたり、勘違いしている人があまりに多い」と指摘しています。そこで今回は、矢野先生の著書『ミスター血糖値が教える 7日間でひとりでに血糖値が下がるすごい方法』から、血糖値や糖尿病に関する最新の常識を一部ご紹介します。 【書影】最新医学でわかった、糖新生を整えて血糖値を安定させるメソッドを紹介!矢野宏行『ミスター血糖値が教える 7日間でひとりでに血糖値が下がるすごい方法』 * * * * * * * ◆うどん、ラーメンより、健康を気づかってそばを食べている そばという穀物には、さまざまな栄養成分が含まれています。 毛細血管を丈夫にしてくれる、ポリフェノールの一種のルチン。お通じを良くしてくれる食物繊維。 エネルギー代謝を促してくれるビタミンB群。体の成長や健康維持をあらゆる面からサポートしてくれるミネラル。などなど、数えだしたらきりがありません。 低カロリーかつ、たんぱく質を豊富に含んでいることも注目されており、「健康食」「ヘルシー」というイメージが根づいています。 そばを扱う食品メーカーやそば店は、ことさらそれを強調しています。 ただしこれは、あくまで良い面だけにフォーカスを当てた情報にすぎません。その裏にひそむもうひとつの顔には、いっさい触れられていないのです。 薬に例えるのなら、効能だけをアピールして、副作用の可能性にまったく言及していない状況と同じです。
◆そばは本当に健康食? そばは本当に、健康食といえるのでしょうか。 糖尿病専門医の私の答えは「ノー」です。 そばには糖質がたくさん含まれている――理由はこれに尽きます。 おそらく「そばよりも小麦粉のほうが糖質は高そう」というイメージを持っている人が多いはずで、それゆえにうどんやラーメンと比較した際に、「そばのほうが断然健康的」と認識しているのではないでしょうか。 しかしそれは、完全な間違いです。 生麺か乾麺か、茹でる前か茹でた後か、などによって数値は若干変動しますが、1食あたりの糖質は、ラーメンもうどんもそばも大差はありません。 肥満のもとであり、糖尿病の原因であることに、なんら変わりはないのです。 そばを食べること自体は構いません。しかし、リスクを認識しておくことと、食べすぎに注意することは、忘れないようにお願いします。
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