【テニスギア講座】邪道とされがちな“デコボコ”グリップテープ。実は疲労軽減やスイングの高速化などメリットが!<SMASH>
さらに「グリップが回されにくい」⇒「強く握りしめなくてもいい」ということから、「スイングスピードが速くなる」と言う人もいます。本当にそうなの? 運動生理学の本を読むと「筋肉を強く収縮させると、その周辺の関節の動きが遅くなる」とあります。確かに関節をクイクイッと動かす時は、力は抜けていますよね。関節を柔軟に動かすためには、できるだけ筋肉を弛緩させるのが好ましいのです。 手の指や腕の筋肉にギュッと力を入れると、関節は動きにくくなります。つまり、できるだけ楽にグリップを握る方が、手首の関節を効果的に使うことができて、スイングスピードは速くなるということなんです。 つい逆のイメージが持たれがちですが、グリップを軽く握るのがスイングを速くするコツであり、軽く握ってもフィットするデコボコグリップは、スイング高速化に役立つと言えるかもしれません。 最初に話した通り、デコボコグリップテープは、普通のテープの裏側に紐状スポンジが貼り付けてあるため、通常の握り感覚よりも全体的にフワッとした握り心地になります。これが「クッショングリップ」の役目も果たしてくれて、ラケットフレームから手に伝わる衝撃や振動を和らげてくれる効果もあるんです。フィーリングとしては、振動止めよりも効果があるように感じるでしょう。 そんな日本独自のスペシャルグリップは、現在5ブランドから発売されています。構造はほぼ同じ感じですが、細めの紐状スポンジを2本にして、より多くのデコボコを作る「ツイン」とか「ダブル」というタイプもあります。 また、ほとんどがウェットタイプのテープですが、「ドライタイプはないのか?」というユーザーの要望に応えて、最近はセミウェットタイプも発売されています。 「カッコよりも効果だ!」という方は、試してみる価値アリですね。 文●松尾高司(KAI project) ※『スマッシュ』2023年6月号より抜粋・再編集