「日本のお正月」を日本人以上に楽しんでいる…観光客でも留学生でもない「日本語が話せない中国人たち」の正体
■「巨大な中国経済圏」が広がっている 来日後、不動産の賃貸や購入も中国系不動産会社の中国人社員が担当してくれるし、身の回りのことも、中国系不動産会社や中国人の行政書士などに相談すれば、それに詳しい在日中国人を紹介してくれる。中国のSNS、ウィーチャットで問いかければ、知りたいことの大半は1時間以内に解決できるといっていい。 「経営・管理」ビザで来日すると日本で事業を行う必要があるが、それについても、在日中国人の友人や、コンサルタント、知り合いなどのツテで準備を進めることができる。飲食店などを開業したとしても、中国人のアルバイトや運転手を雇えばいい。いまの日本には、富裕層、中間層、労働層と、あらゆる階層の中国人が住んでいるからだ。 以前の記事〈なぜ「日本語が話せない」在日中国人が急増しているのか…国内にじわじわ広がる「巨大中国経済圏」の実態〉でも紹介したが、すでに日本に定住している在日中国人同士も、彼らだけでビジネスのネットワークを築いている。 たとえば、中国人の顧客(家主)からマンションのリフォームを依頼された中国人の建築リフォーム会社は、中国人が経営する建築資材会社から資材を購入してリフォームを行い、中国人顧客に納品する、といったように、日本に住んでいながら、日本人を一切介さずに仕事を完結している。 ■運転から病院の手配、宿やレストランまで… インバウンドでも、中国人旅行客から依頼を受けた在日中国人が空港まで迎えに行き、観光案内、病院での検診、通訳などもすべて行い、中国人経営の民泊に泊まり、知り合いの中国人のガチ中華料理店で食事をする、という形態だ。 近年来日した人々も、このように、日本にすでに出来上がっている中国経済圏の中に入り込めばいいだけで、それは同じ言葉が通じる中国人同士なので簡単だ。中国経済の悪化から、中国では儲けが薄くなっているため、資金を日本に移し、日本で、日本語が堪能な在日中国人と組んで、新たなビジネスを始める人も多い。 中には「経営・管理」ビザではなく、ホワイトカラーが取得する「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得して、日本で就職しようとする人もいるが、彼らは日本企業ではなく、日本の中国系企業に就職するため、日本語が話せなくても全然問題はないのだ。日本には、中国人社長の上場企業も少なくとも30~40社はあるし、中小企業を含めれば無数にある。