世帯年収は「800万円」ですが、旅行時のホテルは「素泊まり」プランです。ほかの家庭もいろいろ我慢しているのでしょうか?
世帯年収が800万円あると聞くと、比較的ゆとりがある生活を送れるとイメージされることが多いでしょう。しかし、現実にはさまざまな要因により、すべての世帯が収入に見合った生活を送れているとは限りません。 例えば今回のように、旅行の際には宿泊費を節約するために「素泊まり」を選択する人もいます。本記事では、消費支出の傾向や素泊まりプランが選ばれる理由、その背景にある理由などを考察します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
支出は全体的に減少傾向
総務省統計局の「家計調査報告」によると、2023年度の1世帯あたりの消費支出の平均は総世帯で前年比実質2.4%の減少、2人以上の世帯では前年比実質2.6%の減少でした。 消費支出が減少しているのは、急激な円安などによってさまざまな原材料の価格が高騰することで物価が上昇し、支出を減らす節約傾向が高まっていることが主な理由として考えられます。
世帯年収800万円は余裕がある?
厚生労働省の「国民生活基礎調査の概況」(令和5年)によると、2022(令和4)年の1世帯当たりの平均所得金額は524万2000円です。このデータを見ると世帯年収800万円は、大きく平均を上回っています。 一方、同調査で児童がいる世帯の平均は812万6000円となっており、世帯年収800万円は平均程度といえます。また、年収は総支給額であり、手取り額とは異なります。 年収が800万円の場合、一般的な手取り額の目安はおよそ600万~680万円です。月収にすると単純計算でおよそ50万~57万円となります。 一方、家計調査報告のデータによると、年収が800万~900万円の2人以上の世帯における毎月の消費支出はおよそ35万円でした。消費支出に加えて、住宅ローンの支払いがある場合はさらに支出が増えることになります。 国土交通省の「令和5年度 住宅市場動向調査報告書」によれば、マイホームを購入する人の平均世帯年収は、注文住宅で平均808万円、分譲戸建てが721万円、分譲集合住宅が840万円です。年収800万円前後の世帯は住宅を購入する割合が増えるといっていいでしょう。 年収800万円で一人暮らしであれば、余裕があるかもしれません。しかし子どもがいたり、住宅ローンの支払いがあったりするケースでは支出も多くなるため、年収800万円でも余裕があるとはいえなくなります。 教育費や住宅ローンなどが多くかかる世帯では、旅行に行くとしても今回のケースのように素泊まりにして旅費をおさえるなど、予算を計画的に組む考え方もあるでしょう。