世界に1冊、あなただけの物語を綴るコツ。自分史活用アドバイザーが教える<自分史>の描き方。夫婦の記念日や米寿の誕生日などを目途に挑戦
「長い文章を書くのは苦手」「私の人生、特にドラマチックでもないし」と思い込んでいませんか?自分史づくりのプロは、「女性にこそ、これまで歩んできた道を書き残してほしい」と語ります。気負わず、気軽に始められるコツを聞きました(構成=山田真理 イラスト=tomoto) 【写真】「自分史サロン」で参加者が作成した個性あふれる作品の数々。本の形から冊子、手書き原稿を和綴じしたものまでスタイルもさまざま * * * * * * * ◆「誰のため」「なぜ」が書く原動力に 続いて、自分史の作り方ですが、まず書き始める前に「誰のために」「なぜ」「どんな形で」「いつまでに」作るのかを考えておくとよいでしょう。 自分のためだけに作るのか、家族や友人に見てほしいのか、もっと多くの人に読んでもらえるものにしたいのか。 なぜ作るのか、は家族の歴史を残すためか、人生を振り返るためか、故人の言葉を残したいからか、などさまざまでしょう。 「誰のために」と「なぜ」の2点を明確にしておくと、資料集めなどその後の作業がスムーズに進むだけでなく、最後まで書き上げる原動力にもなります。 次に「どんな形」にしたいのか。上の写真は私のサロンの参加者が作ったものですが、ある程度厚みのある「本」から、手づくりの「冊子」までさまざま。 たとえば70代のEさんは、最初にサロンへいらした時に、「家の裏にこんな井戸があってね」とノートに走り描きした絵がとても魅力的だったので、本文も手書きにすることをすすめ、和綴じ本にしました。 ほかにも、写真を中心にしたアルバム形式や、雑誌のようなスタイルで自分史を編集していく人も。
どのような形式を選ぶかで、予算も変わってきます。自分で書いた原稿をプリントアウトしてホチキスでとめる程度なら、コピー代と表紙代ぐらいで作ることが可能。1~2回のインタビューで作品に仕上げる、10~20万円の自分史作成サービスも登場しています。 自分で書いた原稿を、専門業者に頼んで「本らしい本」にする場合は、50~100部ほど印刷するとして、100万円前後みておくといいでしょう。 最後に、期日について。夫婦の記念日や米寿の誕生日など、はっきりした予定があるとスケジュールが立てやすいものです。とはいえ基本は自分の楽しみのために作るものなので、「88歳の誕生日に間に合わなければ90歳記念でも」くらいの、ゆったりした気持ちで取り組むことをおすすめします。 ひとりでまとめる自信がない方は、私が開催してきた自分史サロンのような、「自分史を語って作れる場」を利用するのも一つの手。また、「自分史活用推進協議会」のホームページ(https://jibun-shi.org/)で、お住まいの近くで活動する自分史活用アドバイザーを見つけ、相談してもいいでしょう。 次ページに具体的な作業の手順をまとめたので、これを参考に、世界でただ一つの物語である自分史を作ってみてください。
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