定年退職の日、妻から渡された“20年越しの離婚届” 「離婚はしないし、不倫もやめない」あの日の宣言が招いた結末
今年で定年を迎えるAさんは、妻との2人暮らしです。子どもたちは既に独立し、それぞれ家庭を築いています。妻との関係は良好で、休みの日には一緒に買い物にでかけるなど、仲睦まじい姿を見せていました。 「おっぱいが大きい人の聴診は嬉しいですか?」小学生みたいな質問への医師の回答が「マジですごい分かる」と反響 最後の出社を終えたAさんは、ほっとした気持ちで帰路に就きます。今まで自分を支えてくれた妻に、これからお返しをしていこうと考えながら自宅に着きました。扉を開けるとそこには子どもや孫、そして妻の姿がありました。今までの感謝を伝えようと集まってくれていたのです。 子どもや孫にも囲まれながら、Aさんは感極まっていました。これまでの苦労が報われるような気持ちを味わい「頑張ってきてよかった」とご満悦です。しかし会の最後、妻から離婚届を渡され「あの日のことを忘れずに今日まで過ごしてきたんです」と言われることで、Aさんは天国から地獄に落ちていく気分を味わいます。 実は、Aさんは20年前に不倫をしてしまい「離婚はしないし、不倫もやめない」と言って、妻に謝りもしなかったのです。その後、しばらくして不倫関係は解消されてからは、真面目に家族のために働いてきました。ただ、妻はその時の言葉で愛情が冷めたというのです。 この出来事の後、妻は「良き妻」「良き母」の仮面を被って過ごし、いつか離婚することを決意して準備を進めていたのです。Aさんは仕事人生の最後の日に、自らの過ちによって大きなしっぺ返しをくらうことになりました。Aさんはどこで道を誤ってしまったのでしょうか。夫婦関係修復カウンセリング専門行政書士の木下雅子さんに話を伺いました。 ーAさんの妻のように夫の定年を機に離婚する人はいるのでしょうか 厚生労働省が発表した「2023年(令和5年)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、離婚全体のうち同居期間が20年以上の夫婦が占める割合が21%ほどでした。実際に私の周囲でも定年を機に離婚をしたいという相談が増えていると聞きます。 ましてやAさんのように「離婚もしないし、不倫もやめない」と言われれば、「いつか離婚してやる!」と考えに至っても仕方ないでしょう。 ーAさんはどこでどう間違えてしまったのでしょう そもそも妻の存在を下に見ていたのではないでしょうか。少なからず支えてもらっているのに当たり前だと思っている節があります。 また、Aさんは不倫を悪いことだと捉えていないと思われます。遊びだから許してもらえるだろうという軽い気持ちなんでしょう。「不倫もやめない」と言っても妻が言い返さなかったことで、より図に乗った可能性が高いですね。 女性も仕事を持ち、年齢を重ねても収入を得ている人もいます。昭和の時代ならいざ知らず、今でもAさんのような考えをしている男性がいれば、要注意です。 ◆木下雅子(きのした・まさこ)行政書士、心理カウンセラー。大阪府高槻市を拠点に「夫婦関係修復カウンセリング」を主業務として活動。「法」と「心」の両面から、お客様を支えている。 (まいどなニュース特約・長澤 芳子)
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