気候変動対策につながる、地球観測テクノロジートレンド10選
1. 人工衛星の高度なセンサー技術
1. 人工衛星の高度なセンサー技術 衛星地球観測センサーの最近の進歩により、地球全域に対するカバー率、解像度、精度が向上し、観測可能な測定範囲が広がっています。 「スーパー・スペクトラル」画像を撮影することができる衛星は、より詳細で洗練されたデータを収集することができ、現在のマルチスペクトラル画像の2~3倍の時間的、空間的、そしてスペクトルにおける解像度を実現しています。こうしたスペクトル解像度の向上により、植物の健康状態における違いの検知、山火事の燃焼深刻度の把握などが可能になり、より正確な水管理および災害後の復興活動に役立てることができます。 2. AI、機械学習、ディープラーニング 高度なAIおよび機械学習(ML)アルゴリズムが、地球観測データの処理と分析を加速しています。例えば、既存のデータで訓練したMLベースのモデルは、従来の気候モデルより最大1000倍速く推定値を生成。これにより、洪水マップなどの気象予測モデルの生成にかかる時間を最大80%削減することが可能です。 また、ハリケーンおよび洪水などの気候関連の事象が発生してから数時間、あるいは数分以内に、詳細な被災状況評価を行うこともできるようになります。従来のモデルおよび現地調査においては数週間を要する作業でした。地球観測データと組み合わせたAIモデルの計算効率によって実現される、前例のないスピードと精度は、タイムリーな意思決定に不可欠です。 3. 衛星エッジコンピューティング 衛星エッジコンピューティングとは、軌道上にある衛星において地球観測データを直接処理する方式です。これにより、データ収集から実行可能な洞察を得るまでの時間を短縮することができます。この技術により、待ち時間が短縮されるとともに、データダウンロードの必要性が低減されるため、災害が発生した際に、より迅速に緊急対応者へ重要な情報を送信することが可能になります。 4. 地球観測センサーの小型化 小型センサーの開発や、製造コストおよび打ち上げコストの削減により、これまでより多くの国が独自の地球観測衛星を製造し、打ち上げることが可能になりました。これにより、一般に利用可能な地球観測データが増加します。 また、マイクロエレクトロニクスと半導体テクノロジーの進歩によって、より小さなチップに高い処理能力が統合されるようになりました。これにより、重く、大量のエネルギーを必要とする機器に頼ることなく、センサーハードウェア自体におけるデータ分析が可能になりました。 5. より大型かつ高性能な衛星 小型化と並行して、現在、より大型かつ高性能なセンサーと強化されたデータ伝送能力を備えた衛星の開発も進んでいます。大型のプラットフォームは信頼性が高く、これまでより多くの機能を提供し、より大きく複雑な機器を搭載することができるでしょう。