「生理のつらさも更年期の大変さも、もっと大きな声で話そう」切実な問題に応えるフェムテック トイレットペーパー型のナプキン、災害用下着…「女性のモヤモヤを解決したい」
開発者が自身の悩みから発想した製品もあった。重い生理痛に悩まされ、「月経痛緩和デバイス」の開発を行ったのは日本の医療機器メーカーの女性だ。医師の指導の下で使用する機器で一般販売はしていないが「このデバイスを使うことで、生理休暇がとりづらかったり、鎮痛剤の副作用が気になったりするといった女性の負担感を少しでも軽減できたら、と思っています」。 膣(ちつ)内に入れて使う月経カップを初めて利用し、生理中のムレやにおいがなくなって快適に過ごせた経験から、自身も新たな月経カップの開発に取り組んだ女性は、勤めていた会社をやめて起業した。「女性が抱えるモヤモヤを解決していきたい」と意欲的だ。 ▽体の大切な場所だからこそ話しづらい 会場では出展者の説明を熱心に聞く来場者の姿が多く見られた。30代の会社員は「生理前や生理中の不調やイライラで仕事にも支障をきたしています。会社に生理休暇があっても、とりづらいんですよね」と吐露する。フェムテックという言葉を雑誌で知り「このイベントをきっかけに、これからも情報収集をして自分に合うものを見つけていけたら」と話した。 20代の学生は「もともとストレスがかかると不眠気味になるんです。生理のストレスを減らせれば、睡眠も改善できるのではないかと思って来場しました。就活中なので、日中の生理の負担も少しでも減らせたらいいのですが」。
率直に語ってくれたこの2人に共通したのは「体の悩みについて、友達との間ではなかなか話題にできない」という声だった。実際、デリケートゾーン向けの商品を紹介するある出展者も「数年前に比べたらフェムテックや、商品の認知度は格段に広がりましたが、体の大切な場所のことであるからこそ、まだまだ話しづらい方も多いと感じます」と明かす。 ▽経済効果を超えた議論を このイベントには「フェムテック」という言葉を2015年ごろに発案した「生理周期管理アプリ」開発者でデンマーク出身のイダ・ティンさんが訪れ「フェムテックという言葉が世界中に広がっていることをすごくうれしく思う」と語った。 フェムテックや女性の健康を取り巻く日本の現状はどうか。作家の北原みのりさんは、1996年から女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」を運営し、長年、女性の心身の悩みに耳を傾けている。女性の性や身体について語ることがタブー視されてきた日本で、自分自身の体を最優先に生きてほしいと発信を続けてきた北原さんは「フェムテックという言葉を初めて聞いたとき、私がやってきたことはこれだったんだ」とポジティブな気持ちになったという。