習近平の2025年は「悪夢の1年」になる…!中国は「格差拡大への不満」で凶悪犯罪大爆発、トランプ「追加制裁関税」が致命傷になる可能性
習近平政権の2025年問題
中国経済をけん引してきた消費と投資のいずれも弱くなっている。習近平政権は財政出動と金融緩和政策を発表しているが、景気を浮揚させることができていない。残りのエンジンは輸出だが、それもトランプ政権2.0に阻まれる可能性が高い。トランプ政権2.0が2025年1月に発足されるが、トランプ氏はすでに中国に対して追加制裁関税を課すことを表明している。これは習近平政権にとって致命傷になる可能性がある。 中国は大きな国で人口も多い。総崩れする可能性が低い。しかし、所得格差が大きいため、低所得層の生活はさらに困窮する心配があって、そうなった場合、凶悪犯罪がさらに横行する恐れがある。 習近平政権にとって2025年の中国経済は、トランプ政権2.0との関係によって大きく左右される。トランプ政権が中国に対して高い制裁関税を課した場合、中国に進出している外国企業は中国にあるサプライチェーンをさらに中国以外の国へ分散する可能性が高い。すでに日本企業の一部はトランプ政権2.0のリスクに備え、中国にあるサプライチェーンをベトナムやタイへ分散する動きが出ている。 中国が依然巨大な市場であることは間違いなく、外国企業は中国国内で販売する製品と商品を引き続き中国で生産するはずである。しかし、中国にとって経済を成長させるために、外国による新規投資を誘致する必要がある。現状では、中国を離れる企業が多く、中国に新規参入する企業が少ない。しかも、外国企業だけでなく、地場の中国企業も海外へ移転しはじめている。 このままでは、2025年の中国経済はさらに落ち込む可能性が高い。3月に開かれる全人代で習近平政権はこれまでの経済統制を緩め、経済自由化のほうへ方針転換する可能性はゼロではない。そうなれば、中国経済は少し安定するようになる。逆に大きく方針転換がなければ、習近平政権にとって2025年は悪夢の1年になる可能性が高い。
柯 隆(東京財団政策研究所主席研究員・静岡県立大学グローバル地域センター特任教授)