「昔に比べたら、私らは温室育ちですよ」ーーAマッソ・加納愛子、芸人としての生き方 #昭和98年
女性コンビ芸人、Aマッソ。長く劇場でも活動し、賞レースにこだわり続ける彼女たちは、これまでの女性芸人のイメージと一線を画している。先輩にへつらわず、観客にも媚を売らず、追究するのは、お笑いの本質だ。ネタ作りを担うのは、文筆家としても才能を発揮する加納愛子(34)。「(著述など)一人の仕事も楽しいですけど、芸人として一人でやっていける人間ではない。舞台では、二人で闘うという気持ち」。以前とは変わりゆく女性芸人の立ち位置や相方村上との関係、そしてゆずれない目標について聞いた。(取材・文:山野井春絵/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
芥川賞、獲りて~!
コンビ芸人Aマッソは、ここ数年で認知度をグッと上げた。 テレビ露出が増える中で、ネタ作り担当の加納愛子が、文筆家として広く知られるようになったことも理由の一つだろう。 「もともと書きたいと思ってたわけでも、何か書きためていたわけでもないんです。本当に今でも手探りで、いろんな人の本を読んで、見よう見まねじゃないですけど、勉強しながら書いてる、という感じで」 文筆業は想定外だったというが、積み重ねてきた読書と、コツコツ続けてきたネタ作りは、確かな筋肉となって文章力にあらわれている。エッセイ、小説と評価は高まり、ピース・又吉直樹のように「芥川賞芸人」になるのでは、と周囲の期待も高まっているが。 「……芥川賞ですか。いや、獲りて~!!! 獲ったら、敬われますよね。見る目が変わる。それを体験してみたい(笑)」 執筆はもっぱら、喫茶店かファミレスで。執筆のための時間を捻出して、集中して書く。 「街を歩きながら、ふと(アイデアが)降りてくる、みたいなのはないです。一日中ファミレスにいて、ネタを書いて、集中が切れたらエッセイを書いて、とか。番組のアンケートとかも、全部そういう場で、パソコンでやってますね。何かを書いている時間は結構長いかも」