地域振興?鑑賞?映画祭は何のため? 「若手監督育成」掲げる映画祭とは
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭が目指すもの
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭は、2004年にスタートして14年。来年は15回の節目を数える。これまで送り出したクリエイターの顔ぶれも錚々たるもの。 アカデミー外国語映画賞を受賞したスサンネ・ビア監督(『ある愛の風景』)や、同賞にノミネートされたベントレー・ディーン監督、マーティン・バトラー監督(『タンナ』)、カンヌ映画祭パルムドール受賞のヌリ・ビルゲ・ジェイラン(『うつろいの季節(とき)』)、カメラドール受賞のミランダ・ジュライ監督(『君とボクの虹色の世界』)、日本のクリエイターでは、『凶悪』で国内映画賞を総なめにした白石和彌監督(『ロストパラダイス・イン・トーキョー』)、同様に『湯を沸かすほどの熱い愛』で総なめにした中野量太監督(『チチを撮りに』)、小路紘史監督(『ケンとカズ』)、坂下雄一郎監督(『神奈川芸術大学映像学科研究室』)などの名があげられる。 この映画祭の“意味”は、「次世代映像産業の発展と集積、映像クリエイターの発掘と育成」だ。映像のデジタル化が始まったとき、その技術と効果の啓蒙の場として大きな役割を果たした。デジタル映像が普及し、ほとんどの映像がデジタルで撮影、編集、上映されている現在、映画祭の意味は「映像クリエイターの発掘と育成」にシフトした。
受賞をきっかけに、飛翔する3人の監督たちからのメッセージ「まずはポッと出になれ!」
今年、「飛翔する監督たち」と題し、同映画祭の受賞監督の作品の特集上映とトークショーを行った。長編部門受賞者からは、前出の白石和彌監督(『ロストパラダイス・イン・トーキョー』)、中野量太監督(『チチを撮りに』)、坂下雄一郎監督(『神奈川芸術大学映像学科研究室』)。短編部門受賞者からは、それぞれ長編デビュー作が高い評価を受けた、『愚行録』の石川慶監督(『It's All in the Fingers』)、『仁光の受難』の庭月野議啓監督(『イチゴジャム』)、セルフリメイク長編『ケンとカズ』の小路紘史監督(『ケンとカズ』)が参加。来年、アニバーサリーイヤーを迎える前の第14回に、これを行うことにした映画祭事務局の企画力には、たくましさと視野の広さを感じた。