旅行は老化を遅らせる?「非日常」の刺激が効果をもたらす可能性が豪大学の研究で明らかに
ストレスの軽減など、旅行が健康に良い効果をもたらすとみられることは、これまでにも数々の研究によって報告されている。だが、新たに発表された論文によると、旅には「老化を遅らせる効果」もあると考えられるという。 【写真】老化を早める7つのNG食材 短絡的な話のように聞こえるかもしれない。だが、新たな社会的つながりを築けることや、よく眠れること、新しい体験ができること、といった旅行によって経験できる可能性が高まるいくつかの要素が、早期老化のリスクを低下させるのではないかと指摘されている。 「ジャーナル・オブ・トラベル・リサーチ」に発表されたこの論文の筆頭著者で、エディス・コーワン大学・精密医療センター、博士候補生のファンリー・フー氏は、「観光学を研究する立場から、旅行が人々の生活、特に健康と老化に違いをもたらすことができるのかどうか、明らかにしたいと考えています」と述べている。 その研究で明らかになったのは、どのようなことだろうか。また、ほかの科学者はその結果について、どのように考えるのだろうか――? ※本記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスからの翻訳をもとに、ウィメンズヘルス日本版が編集して掲載しています。
明らかになったことは?
新たにジャーナル・オブ・トラベル・リサーチに発表された論文は、「宇宙は死と無秩序の方向に進むものだ」とする「エントロピーの理論」を適用して、旅行について考察したものだという。 研究チームは、日常のルーティンと、新しいものを見ることをどちらも経験することで、ストレスレベルを低下させ、代謝を上昇させることが可能になる(免疫力を高める)との見方を示している。 そして同時に、それらの経験が「組織の修復と再生を促すホルモンの働きをサポートし、最終的には老化の兆候が表れるのを遅らせることになる」と考えている。
実際に老化を遅らせる?
この研究では、旅行をしている人たちと、しない人たちにみられる老化の兆候を比較したわけではない。つまり、現時点ではこの論文の結論は、老化に関する「ひとつの説」。旅が実際に老化を遅らせるのかどうか、確信が持てる答えを導き出すのは難しい。 ただ、それでもカリフォルニア州サンタモニカにあるパシフィック神経科学研究所の老年心理学・神経心理学博士研究員、シャネル・カシス・エルハロー氏は、この説には「説得力がある」と述べている。 その理由は、この説を支えるものとして挙げられているのが、脳の健康のための「柱」とされている睡眠と栄養、ストレスの管理、運動、人との交流、認知機能への刺激、などであること。旅にはもともと、認知機能の健康やメンタルヘルスの維持、そして幸福感や目的意識を持ち続けるために欠かすことができないこれらの要素の多くが含まれているという。 フー氏もまた、体を動かし、人との交流も増える旅行は、健康的なライフスタイルの促進につながるほか、新鮮な食材で作られた地元の料理を楽しむことで、健康的な食事をとることができると述べている。