混迷のメッシ移籍問題…最悪のシナリオとは?
16年間プレーしたバルセロナを退団する意思を示しているサッカー界のスーパースター、アルゼンチン代表FWリオネル・メッシの去就をめぐる問題が、泥沼化する様相を呈してきた。 メッシとバルセロナの主張は、現時点で完全なる平行線をたどっている。バルセロナを拠点とするスポーツ紙「ムンド・デポルティーボ」は、メッシの代理人を務める父親のホルヘ氏とバルセロナの話し合いが現地時間2日にも行われると報じているが、妥協点を見出だせるかどうかは未知数だ。 ポルトガルでの一発勝負で行われたUEFAチャンピオンズリーグ準々決勝で、バイエルン・ミュンヘンに2-8で惨敗。12シーズンぶりとなる無冠とともに2019-20シーズンを終えた、先月14日を境に退団の可能性が報じられ始めたメッシの去就問題は、同25日になって潮目が変わった。 メッシの弁護団がバルセロナに対して、ブロファックスと呼ばれるスペインの内容証明郵便を送付。来年6月30日まで結ばれている契約を解除し、今夏をもって退団する意向を伝えた動きはスペインを含めたヨーロッパ中のメディアで報じられ、世界的な関心を集める問題へと発展した。 バルセロナとメッシの間で交わされている契約には、解約条項として7億ユーロ(約885億円)にのぼる、天文学的な金額の違約金が設定されている。さらには6月10日までにメッシ側がバルセロナへ意思を通告すれば、違約金が発生することなく退団できる条項も盛り込まれていた。 契約書で定められた期限までに、メッシ側はバルセロナに対してアクションを起こしていない。しかし、本来ならばオフに入っていたはずの6月10日は、新型コロナウイルス感染拡大によって長期中断を余儀なくされた2019-20シーズンが、約3カ月ぶりに再開される直前のタイミングだった。 特異な状況下で前例のない大混乱に見舞われたがゆえに、メッシ側は「一連の解約条項はまだ有効」とブロファックスを介して訴えたとされている。対するバルセロナは契約書に則る形で、一方的な解約条項はすでに失効していると主張するなど、両者の見解には埋めがたい距離が生じている。