なぜ仏1部の強豪マルセイユは長友佑都を求めたのか?
トルコの名門ガラタサライを6月末に退団し、所属クラブのない状態で通算5チーム目となる新天地を探していた日本代表DF長友佑都が、同じく日本代表のDF酒井宏樹が所属する仏リーグアンの強豪オリンピック・マルセイユ入りすることが濃厚になった。 スポーツ紙「レキップ」や専門誌「フランス・フットボール」など、フランスのメディアが現地時間29日(日本時間30日)にいっせいに報じた。近日中に長友がフランス南部の地中海沿いにあるマルセイユ入りし、メディカルチェックなどをへて正式決定する見込みだと伝えている。 長友は7年間所属し、副キャプテンも務めた伊セリエAの名門インテル・ミラノから、出場機会を求めて2018年1月末にガラタサライへ期限付き移籍。サッカー人生で初めてリーグ戦優勝を経験した後に完全移籍へ切り替え、左サイドバックとして2018-19シーズンの連覇に貢献した。 しかし、昨シーズンは次第に出場機会が減少。冬の移籍市場を終えた2月以降は外国籍選手の人数規定のために登録を外れ、ガラタサライの一員でありながらリーグ戦を含めた公式戦のピッチに立つことができない状況のまま、2年契約が満了する6月30日を迎えていた。 出場機会を重視するのであれば、ガラタサライの方針を受け入れた上で、今冬の移籍期間中に動きを見せていたはずだ。例えば日本代表の盟友でもあるDF吉田麻也は今年1月末に、プレミアリーグのサウサンプトンからセリエAのサンプドリアへ期限付き移籍している。 それでもトルコに残り、ガラタサライの練習に参加してきたのは、契約満了に伴って移籍金がゼロとなり、新天地を求めやすい状況となることを待っていたためだろう。同時に新型コロナウイルスによる長期中断中には自宅でハードな体幹トレーニングを課し、新たな戦いへの準備を積み重ねてきた。
日本のJリーグも長期中断を強いられていたゴールデンウィークには、いまも愛してやまない古巣、FC東京のイベントへイスタンブールの自宅からリモート出演。ガラタサライで迎えた3シーズン目の途中で非情な状況下に置かれても、トレードマークでもある情熱を真っ赤にたぎらせ、4大会連続となるワールドカップ出場をも見すえながら、心技体が充実していることをアピールしていた。 「僕、マジで悩みがないんですよ。人間である以上は悩みを含めた感情がありますけど、処理能力がめちゃ早いと思うんです。それが自分の強みというか、逆境が大好物なんですよね」 実際、長友が実質的な戦力外となるのは初めてではない。いつしか最古参となっていたインテル・ミラノでも幾度となく放出候補として名前があげられたなかで、わずか16試合の出場に終わった2016-17シーズンを終えて帰国した、当時30歳の長友は自身の去就を豪快に笑い飛ばしたことがある。 「何だか皆さんがすごく心配して下さってくれているんですけど、僕自身がまったく自分のことを心配していないんですよ。本当にシンプルなことですけど、クラブに必要とされないのであれば荷物をまとめて出ていきます。自分が必要とされる場所で、輝き続けるための努力をするだけなので」 どんなに逆風に吹かれようとも失われなかった、タフでポジティブな思考が昨シーズンのリーグアンで2位に入った強豪、マルセイユの関心を引き寄せたと表現すればいいだろうか。 すでに新シーズンが開幕しているリーグアンだが、マルセイユは21日に予定されていたサンテティエンヌとの開幕戦が来月17日に延期されている。左サイドバックを務めるジョルダン・アマヴィの新型コロナウイルス感染が、今月13日に発覚したことがきっかけだった。