Moto2チャンピオンに輝いた小椋藍選手。2024年シーズンのキーポイントと、2年前からの向上とは
そして、サンマリノGPで重要な優勝を果たすのです。小椋選手が以前にも増して悠然と週末を迎えるようになったのは、このサンマリノGP以降です。 「ミサノ(サンマリノGP)での優勝は、とても大きかったと思います。まだ(右手に)痛みがありましたが、レースで優勝し、チームのモチベーションをさらに引き上げることができました。シーズン終盤、何度も表彰台に立っていますし、コントロールできています。完璧なシーズンではなかったですが、すごく良いシーズンでした」 この優勝について、小椋選手のクルーチーフであるノーマン・ランクさんはこう語っています。 「右手が万全ではないにもかかわらず優勝したことは、彼にとって自信の向上につながった。優勝できる、と彼が感じたんだ」 「ミサノは、まだ右手が完治していなかったけれど、彼は勝った。それはつまり、100パーセントの状態ならばもっと強いということだ。それに、ミサノは、以前は遅いというわけではないけれど、とても強かったサーキットというわけでもなかった。だから私たちは彼のために良いバイクを作ったし、彼のライディングスキルも以前よりずっとよくなっている。これがミサノのキーポイントだったんだ」 まさにこのサンマリノGPで、小椋選手はランキングトップに浮上しました。サンマリノGPは、今季の小椋選手にとって、ある意味でチャンピオンを決定づけたレースだったのかもしれません。
2年前から、そして2017年から、小椋藍はいかに自分を向上させてきたのか
小椋選手は、2022年シーズンにもアウグスト・フェルナンデス選手(現MotoGPライダー。レッドブルGASGASテック3)と、Moto2クラスでチャンピオン争いを展開しています。そのときは最終戦までもつれましたが、ランキング2位に終わりました。
そのときから現在にかけて、どのように向上したのか。小椋選手は「2年前よりも明らかに速さが増しています」と語っています。 「2年前は、セッションで10番手でも、レースではなんとかして4位、5位でゴールして、チャンピオンシップのために毎戦ポイントを獲得していました。ただ、最終戦までタイトルを争いましたが、Moto2で最速のライダーではありませんでした」 しかし、「今年は全く違っています」と言います。 「全てのセッションをとてもうまくコントロールして、全てのレースをうまく走りました。2年前よりも、自分をよくわかっています。これが、2年前との大きな違いなんです」 さらに、ランクさんに聞いた話を加えましょう。小椋選手の2017年からの成長、向上についてランクさんに尋ねました。 2017年は、小椋選手のFIM CEVレプソルMoto3ジュニア世界選手権(現FIMジュニアGP世界選手権)参戦初年度で、ランクさんと組み始めた年です。なお、小椋選手は2025年にMotoGPクラスへの昇格が決まっており、2人は今季限りで袂を分かつことになります。 「最も大きなポイントは、アイがレースにおける自分の生活の全てを、結果を得るために、世界チャンピオンを獲得するために集中しているということだ」 「チャンピオンシップを学び、カテゴリーを学び、パドックのライフスタイルを学ぶためにね。というのも、日本のライフスタイルとは全く違っているからだ。この厳しい世界のパドックでは、役に立たないこともある」 「彼は、自分がフェアで正しくなければならないと理解している。けれど同時に、強くなければならず、自分の道を行かなくてはならないし、礼儀正し過ぎてもいけない。ここは驚きの連続のようなところだからね」 「ここでは誰もがチャンピオンになりたいと思っている。だから、最強でなければならず、完璧でなければならず、賢く、速く、利口でなければならないんだ。長年にわたってこのパッケージが形成され、世界チャンピオンになることができる。アイはこれを理解しているんだ」