異例の自己解説…なぜロッテ鳥谷敬は5か月ぶり”実戦デビュー”で安打&好守で存在感を示すことができたのか?
ロッテの鳥谷敬(38)が17日、埼玉のロッテ浦和球場で行われた巨人2軍との練習試合に「3番・ショート」で初の実戦デビュー、5回で退いたが、3打数1安打で守備では、三遊間の難しい当たりをジャンピングスローでさばくファインプレーを見せるなど攻守で存在感を示した。今岡真訪2軍監督(45)が「ブランクを感じない」と絶賛すれば、マスクをかぶった巨人の炭谷銀仁朗(32)も「阪神時代と変わらない。目がいい」と評した。なぜ鳥谷は、5か月ぶりの実戦で存在感を示すことができたのか。鳥谷自身が、ひとつひとつのプレーの意図を懇切丁寧に自己解説した。鳥谷は新天地で再ブレイクするのかもしれない。
グランドに立てていることへの感謝
白線を跨ぎ、鳥谷は慣れ親しんだショートのポジションへと走った。 「2軍の試合ですけど最初からグラウンドに立って、結果というよりも、そこに立てていることへ感謝を持ちながらやった。昨年は、なかなかグラウンドに最初から立つことができなかった。懐かしいというより、そこに立ててよかったなという思いがあった」 「3番、ショート、鳥谷」のアナウンスに特別の思いがこみあげてきた。 昨年は、ショートでの勝負を宣言してキャンプに入ったが、開幕スタメンは、新人の木浪が守ることになりシーズンを通じてスタメン出場はたったの8試合しかなかった。代打ではなく、スタメンで出て走攻守のトータルでチームに貢献していくのが、鳥谷のプレースタイル。そぐわない役割の中、結果を出せず、おげくに引退勧告へ追い込まれた。「納得できないまま終われない」の思いは、この日のスタメン出場で感じた喜びに凝縮されている。 特にショートはこだわりのポジションである。 「ずっと守ってきたポジション。そういう意味では(最初がショートで)よかった」と本音を漏らしたが、「これからはチーム状況に合わせて三塁とか、二塁とか(を守り)、ポジションの質をあげていかなくてはいけない。楽しみというか課題をもらっているので、それをやりがいに感じてやりたい」とも言った。 「選手の交代したところに打球が飛ぶ」は「プロ野球ある、ある」だが、ロッテの入団祝いとばかりに、巨人、先頭の湯浅の打球はショートへ。正面のゴロを無難にさばくと4回には、若林の三遊間寄りの難しいゴロをダッシュしてジャンピングスロー。送球もストライクで、元気一杯だった巨人ベンチをシーンと静まり返らせた。 実は、このプレーには、ゴールデングラブ賞5度受賞のレジェンドゆえの奥深い読みがあった。鳥谷自身がファインプレーが起きた理由を懇切丁寧に説明した。 「アウトにした”いいプレー”というより、(カウントを)追い込まれた、1軍でもやっているバッターの打球方向に合わせて1、2歩、あっち側(三遊間)に寄っていたことで取れたひとつのアウト。もし、その前のカウントのポジションにいたら、同じプレーはできていなかった。今までやってきた経験が生きたプレーだと思う。(ショートは)一番長く守ってきたポジション。その感覚を出しながらできたかなと思う」 つまり若林は、追い込まれると、逆方向におっつける傾向にあることを経験則から弾き出しピッチャーがモーションに入ると、ススッと、1、2歩ポジションを動かしていたのである。この日は、3回の守備機会をパーフェクトにこなした。