異例の自己解説…なぜロッテ鳥谷敬は5か月ぶり”実戦デビュー”で安打&好守で存在感を示すことができたのか?
なぜ1か月キャンプもしていない鳥谷が、これほどの動きができたのか。鳥谷は、自らの長所と短所と向き合える、その時間を逆に利用してきた。「試合をこなしているなかで、体の使い方で硬くなっている部分、動き辛くなっている部分を探しながら、この何か月かトレーニングをできたので逆にそこはよかった」と説明した。 鳥谷を見守る今岡2軍監督も阪神を戦力外になりロッテにテスト入団、その年のCSでヒーローとなり移籍初年度に”下剋上日本一”に貢献した。「僕は何年も補欠だったが、トリは調子がよかろうが悪かろうが1軍にずっとベンチにいた。僕とは背負っているものが違う」と謙遜しながらも、こんなエールを送った。 「トリが納得するまで野球をやってもらいたいしいい意味で野球を楽しんでもらいたい。阪神時代に背負っていたものを外して野球少年のように純粋にね。心に期する、というか、やってきたファーストタッチ(初対面)の”ひさしぶりやなあ”という時から阪神時代とは違うオーラ、エネルギーが出ていた。阪神タイガースは背負うものが大きい。阪神は”楽しめ”と言っても”楽しめるかあ”というところなんで(笑)」 ロッテの鳥谷は、記者のどんな質問に対しても真摯に向き合い丁寧に答えている。それが異例の”自己解説”になったわけだが、この日のインタビュー時間は、20分弱にも及んだ。確かに鳥谷は変わった。 鳥谷も、阪神時代との違いを「キャンプに参加できない間、自分で練習する場所もなく、どこで練習ができるのかを探しながらやっていた時期もある。野球をやれるありがたさをタイガースでやっていれば感じられなかった。その気持ちを持ちながら1年間やっていきたい」と、切実に語った。 阪神時代とは背負っているものが変わったのか?と尋ねると、「当然、環境に違いもある。きた最初は(報道陣がたくさん)いましたが、昨日は誰もいなかった(笑)。誰も見ていないところで練習をすることが嫌いじゃないので、そういう意味では、楽という表現がいいのかわからないが、しっかりと自分の課題と向き合ってできる時間が多いのかなと思う」と、今の心境を率直に話した。 複数の虎番記者がマークする阪神時代は、記者が数人などという環境はなかった。しかし、ロッテでは、12日の初練習以降、アウエーの試合に帯同せず、ロッテ浦和球場に居残り練習となった、ここ数日、報道陣がガタっと減った。その取り巻く環境の変化を鳥谷は寂しいどころか、ストイックな野球人として歓迎している。