なぜ井上尚弥はWBAの指名試合指令を「嫌がらせ」と感じたのか…「ベルトにこだわりはない。剥奪でも返上でもぶっちゃっけどっちでもいい」
プロボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(31)と、WBA世界バンタム級王者の井上拓真(28、共に大橋)が28日、WOWOWのエキサイトマッチSPの収録に初めて兄弟揃っ参加して5月6日に東京ドームで行われたビッグマッチを振り返った。収録後に囲み取材に応じた井上尚弥は、WBAから9月25日までに元WBA&IBF世界同級王者のムロジョン・アフマダリエフ(29、ウズベキスタン)との指名試合を命じられている件について触れ、「嫌がらせ」と困惑。「ベルトにはこだわらない」と剥奪でも返上でも応じる考えを示した。また次から次へと王者から挑戦状が舞い込んでいるフェザー級への転級に関して拓真は「今すぐにでも通用する」と太鼓判を押した。なお今回の収録は7月15日(月・祝)に午後9時より放送・配信される。 【画像】スポーティな白黒コスチュームのラウンドガールが世界戦に華を添える
興奮が蘇ってきた。 5月6日に東京ドームで行われた井上尚弥vsルイス・ネリ(メキシコ)、井上拓真vs石田匠のタイトル戦の2試合を2人が互いの試合の印象などを交えてながら解説した。 番組の構成上“ネタばれ”はしないが、井上尚弥は1ラウンドに喫したまさかのダウンの裏話、井上拓真は、ラウンド間の父・真吾トレーナーとの生々しいやりとりなどを紹介した。 収録後に囲み取材が設定され、井上尚弥はWBAから7月14日までを交渉期限に同級1位で元WBA&IBF王者のアフマダリエフ(ウズベキスタン)との指名試合を指令されている問題について初めて口を開いた。 「ベルトにもうこだわりはない。剥奪されるなら全然いい」 すでに陣営は9月の第1週(米メディアが報道している9月9日は間違い)に都内で、元IBF世界同級王者のTJ・ドヘニー(アイルランド)との防衛戦を行う計画を固めており、WBAが試合実施の期限とする9月25日までに指名試合を行うのは事実上不可能。指令を拒否すると王座の剥奪か返上を選択することになるが、井上尚弥は「剥奪でも、返上でも流れで。ぶっちゃけ、どっちでもいい」という考えを示した。 「そもそもスーパー王者って(指名試合が)ないんですよね?こんなスパンで(指令を)出すものじゃないのに急に…」 井上尚弥が言う通り、通常王者の指名試合の期限は90日間だが、彼が認定されているスーパー王者には、原則、指名試合はなく、一応設定されている期限も18か月と長い。ネリとの4団体統一戦を終え、次戦の情報がメディアに流れてから、いきなり指名試合が命じられるのは、いかにも不自然だ。 「ちょっと(指名試合の指令が)出たタイミングも、向こうのプロモーターの発言にしろ、けっこう嫌がらせちっくに感じる」 モンスターが困惑するのも無理はない。 井上が指摘するプロモーターの発言とは、アフマダリエフとプロモート契約を結ぶマッチルーム社のエディ・ハーンCEOが、アイルランドのボクシング専門メディア「アイリッシュ・ボクシング」に対して「いい加減にしろ。井上にとってこの階級で戦えるのはアフマダリエフだけだ。ボブ・アラム、本田(明彦)さん(帝拳ジム会長で井上の共同プロモーター)、井上にアピールしたい。ミスマッチは勘弁してくれ。申し訳ないが、井上対ドヘニーは、ひどいミスマッチだ。(ファンを)欺くな。格闘技ファンの皆さんも、“井上は素晴らしいファイターだ”と称賛するよりも、こんなデタラメに乗るな。アフマダリエフには、誰よりもチャンスがある」と発言したもの。 口達者でメディアを使うのが上手なハーン氏の発言には狙いがある。軽量級では桁外れのファイトマネーが手に入る井上尚弥とアフマダリエフの試合をなんとか実現させたいがゆえの世論作りも含めた妨害行為だろう。元々はドヘニーはマッチルームの契約選手。その選手に先を越されたやっかみや焦りもある。
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