ツーリングはやっぱり大排気量バイク? 250ccなど小排気量モデルが勝るケースとは?
小排気量バイクがハヤブサに勝るシーンも?
ほかにも、モデルや状況によっては、大排気量バイクが、小排気量バイクに負けてしまうシーンもあります。 例えば、筆者がかつて所有していたスズキの2代目「ハヤブサ(正式名称GSX1300Rハヤブサ)」。 ご存じの通り、ハヤブサは、排気量1339cc・水冷4気筒エンジンを搭載し、最高速度300km/hを誇るメガスポーツとよばれるフルカウルモデルです。世界中にファンを持つスズキのロングセラーで、現行モデルの3代目が2021年に発売されています。 2代目の装備重量は266kgで、駐車場などでの取り回しでは車体がかなり重い印象でした。でも、乗ってしまえば走りは軽快で、最高出力197PSのスペックを活かし、高速道路の巡航などでは余裕の走りと抜群の直線安定性を発揮。また、ある程度の風にも強かったことで、ロングツーリング時の快適性はかなり高いバイクでした。 ところが、春先など、かなり強い突風が吹くときに高速道路を走行したときは、ハヤブサの車体があおられて怖い思いをした経験もあります。 特に、関東のライダーなどにはおなじみの東京湾アクアラインは最悪でした。海ほたるPAと木更津を結ぶ海の上にかけられた橋(アクアブリッジ)では、風速10m/秒を超える強風が吹くときもあり、その際に海から押し寄せる横風はかなり強烈で、通行止めになることさえあります。 筆者は、一度、そんな強風時にハヤブサを走らせたところ、いきなりの台風級(と感じるほど強烈な)横風にあおられ、片側2車線の隣の車線まで飛ばされそうになったことがあります。そんな時、橫の車線にクルマが走っていたら……衝突して大事故になったかもしれません。 その後は、あまりの恐怖からスピードを50km/h程度に落とし、走行車線を超ゆっくりと走行。心理的にはもちろん、飛ばされまいとハンドルに力を入れすぎたことで肉体的にもヘトヘトで、早く高速を降りたいと思いながら走行したことを覚えています。 そんな時、追い越し車線の後方から、(モデルは忘れましたが)250cc・単気筒のオフロードバイクが接近。なにくわぬ顔(のように見えました)で、80km/h近い速度で筆者のハヤブサを抜いていったのです。筆者の愛車と比べ、絶対的なパワーで劣り、車両重量も軽いオフロードバイクに、なぜあれほどまで楽々と抜かれたのか? 通常時にはありえないことです。 おそらく理由は、あくまで私見ですが、2代目ハヤブサは全長2190mm、全高1170mmという大柄な車体と、フルカウル仕様だったことが禍(わざわい)したのではないかと思います。 特に、ハヤブサのカウリングは、現行モデルも同様ですが、最高速度を高めるための空力特性を考慮した、文字通りのフルカバード仕様。そのため、前から吹く走行風にはめっぽう強く、前傾姿勢でヘルメットまでウインドスクリーンの中に潜れば、走行風はほとんど体に当たりません。 ところが、サイドカウルなどはにまるで隙間はなく、大柄なバイクだけに、横風を受ける面積も大きめだといえます。橫からみたときに隙間も多く、全高はあるけれど、風を受ける面積自体は小さい250ccのオフロードバイクと比べると、ハヤブサは横風の影響を受けやすいのではないかと思うのです。 ちなみに、フルカウルモデルが横風に弱いという話は、1000ccスーパースポーツなどのオーナーからもたまに聞くので、筆者の推測もあながち間違いではないかもしれません。そう考えると、同じ大排気量バイクでも、ネイキッドやアメリカンなどと比べ、フルカウル仕様のスポーツバイクは橫風には弱い傾向にあるといえるかもしれませんね。