奈緒が海外の人との交流で気づいた「日本人である自分が知らない日本」の姿
日々「日本人である自分が知らない日本」に気づかされています
「東京サラダボウル」の原作の中に、外国人に対する偏見がある日本人男性に対し、警視庁・通訳センターに所属するベトナム語通訳人・今井もみじが「(外国人を)敵視して攻撃して排除したって、今のあなたの居場所は守れない。同じ社会で生きる者としてせめて受け止めなければ、あなたが生き苦しくなるだけよ!」と言うシーンがある。人口が減り、少子化が進み、労働力として外国人の力を借りないと今の社会を維持できなくなっている日本の現状。本作で作者が言いたかったのはまさにこれではないかと感じる、重く深い言葉だった。 「“自分たちとは関係のない話なんだ”というのは、もう何に対してもないのかもしれませんね。東京に住んで、たくさんの海外の方たちに支えられている現実がある以上、そこを自分と切り離して考えることはできないですし、まずは現状を知ることがすごく大事なんじゃないかと思っています。 実は私自身、日本は『国産である』ということを大事にしている国だと思っていたんですが、実際にデータで見てみると輸入したものにとても助けられていることを知りました。その一方で、海外に行った際に『これすごく美味しいね。日本にも入ってきているかな?』と出合った食材について聞くと、『これは地元の人たちで食べちゃうから出回らないよ』と言われ、その土地で採れた旬の食材を、そこに住む人がその時期に食べるということの大切さに気付かされたりもしました。 季節に関係なく、1年中同じ野菜や果物が食べられることはとても便利ですが、日本はせっかく四季があるにも関わらず、意識をしないと旬の食べ物が何なのかわからなくなってしまいやすい環境でもあると思うんです。 こういった食の話はあくまでも1つの例ですが、私自身そういった自分の国に関することを海外の友達から教えてもらうことが少なくなく、それこそこのドラマの現場で台湾から来た役者さんたちと話すなかで、日々『日本人である自分が知らない日本』に気づかされています。 だからこそ、自分たちを知る意味でも海外の方との交流は大切ですし、必要なのだと、この作品を通して強く感じています」 奈緒(なお) 1995年2月、福岡県出身。モデルとして活動を開始し、2013年テレビ西日本のドラマ「めんたいぴりり」で女優デビュー。20歳で上京後、2018年、NHK連続テレビ小説「半分、青い。」でヒロインの親友役に抜擢、翌年にはテレビドラマ「のの湯」(2019)での連続ドラマでの初主演を果たす。同年『ハルカの陶』で映画初主演。2023年エランドール賞新人賞を受賞。主な映画出演作に『事故物件 恐い間取り』『草の響き』『TANG タング』『マイ・ブロークン・マリコ』『スイート・マイホーム』『陰陽師0』『告白 コンフェッション』『先生の白い嘘』『傲慢と善良』などがある。 ヘアメイク:竹下あゆみ スタイリング:岡本純子 〈衣装〉 ドレス128,700円、ジャケット220,000円/共に3.1 Phillip Lim イヤリング48,400円、チャーム円38,500円、左手中指リング88,000円、右手小指リング81,400円/全てアガット 〈お問い合わせ先〉 ・3.1 Phillip Lim Japan/customercare@3lphilliplim.co.jp ・アガット/0800-500-5000
上田 恵子(ライター)