奈緒が海外の人との交流で気づいた「日本人である自分が知らない日本」の姿
「嫌いな食べ物」で相手のパーソナルな部分を知る
海外のメニューが日本に来て日本風にアレンジされたり、日本のメニューが海外で現地風にアレンジされたり。「食は文化」という言葉の通り、食はお国柄がもっとも出やすい分野なのかもしれない。 「本当にそう思います。たとえば韓国では、日本のタコ焼きが屋台でプチブームになっているそうなんですが、やっぱり日本のものとは微妙に違うんですよね。でも韓国の方々はそれが日本のタコ焼きだと思って食べているわけで、そういうことってすごく多いんだろうなと思いました。 鴻田さんは、まず食から相手のことを知ろうとします。一見トリッキーな行動に見えるけれど、実は一緒にご飯を食べるのって、相手を理解するうえですごく効果的なんですよね。 このドラマの共演者の皆さんともよくご飯を食べに行くのですが、私はそういう時『苦手な食べ物は何ですか?』と聞くようにしています。好きな食べ物はシンプルに美味しいとか味が好きだからという理由ですが、苦手な食べ物の背景にはユニークなエピソードやその人のこだわりが垣間見えることが多いからです。 たとえば私の友達に、『原形が大きすぎる食べ物』が苦手な子がいます。食べる時にその大きさを想像して、自分の体より何倍も大きいものを食べていると思うと具合が悪くなるのだそうで……。私は食材の大きさを気にしたことがなかったのでビックリしました(笑)。 ちなみに私が苦手なのは色鮮やかすぎる生の食べ物。決して食べられなくはないのですが、なんだか食べちゃいけない気がして複雑な気持ちになります。色に敏感なのかもしれません。……という感じで、苦手な食べ物を語り合うとその人のパーソナルな部分が出て盛り上がるので、ぜひ試してみてください(笑)」
印象とは、会って話してみて初めて発生するもの
偏見はもちろん、人への先入観も持たない鴻田。奈緒さん自身も、先入観は持たないほうだという。 「以前取材で、『今回初めて○○さんと共演して、何か印象が変わった部分はありますか?』と聞かれたことがあるのですが、そこで初めて『自分は会ったことがない人に対して事前に何らかの印象を抱く、ということがないんだな』と自覚したんです。印象というものは、会って話してみて初めて発生するものという感覚だったので、そもそも変化しようがないのだということに、質問されて気づきました。 もちろんお相手も芸能界の方である以上、日頃からテレビ等で拝見したり噂話を耳にすることはあります。でもやっぱり実際に会って、お話しした時の印象が1番だと考えているので、無意識のうちにそういった情報を頭に入れないようにしているのかもしれません。 あともう1つは、そこまで自分を信用していないと言いますか(笑)。人以外のことも含め、自分が抱いた印象が正しいかどうかわからないので、もう1人の自分が『本当にそれで大丈夫? 合ってる?』と自分を疑う、みたいなことが結構あります。 今回のドラマでは松田龍平さんと共演させていただいていますが、私は学生時代から龍平さんの映画を何本も拝見していて、すごく尊敬しているんですね。どの作品も大好きですが、それでも龍平さんがどんな方かというのはお会いしてみないとわからなかった。お会いした瞬間がゼロ地点で、すべてはそこからスタートするという感覚を大切にしています」