21世紀枠の石橋 進学校に「中学日本一」の救世主 センバツ
学年の半数以上が国公立大学に合格する県立校に昨春、救世主が現れた。第95回記念選抜高校野球大会第4日に登場する21世紀枠の石橋(栃木)・入江祥太選手(2年)。中学のボーイズでは三塁手兼投手で全国制覇した経歴を持つ「二刀流」だ。 ◇「グラウンドでのオーラが違う」 身長180センチ、体重80キロ。守備では肩が強い大型ショートで、がっしりとした下半身を生かした打撃は長打力があって勝負強い。 さらに、投げては最速136キロの直球で強気に内角を突けるのが魅力の本格派右腕だ。福田博之監督(57)は「打撃も守備も投球も全てが魅力。グラウンドに立った時にオーラが違う」と言う。 栃木・作新学院中時代は県央宇都宮ボーイズに所属した。副主将を務めた3年春に全国制覇を成し遂げ、夏は準優勝を経験した。 高校は夏の栃木大会で2021年まで10連覇した作新学院にそのまま進むのが王道と言えた。しかし、入江選手の考えは違った。「普通じゃつまらない。作新を倒して甲子園に行きたかった」。中学2年だった20年秋の栃木大会準決勝で作新学院を破った石橋を見て、心が揺さぶられ、進学を決めた。 野球だけでなく勉強にも力を入れてきた。作新学院中に入学したのも「私立で勉強の環境が整っていて、よりよい環境で勉強がしたかった」からだ。小学6年の時に模試でクラス1位になり、中学でも3年間の成績は苦手な音楽が「4」だったぐらいで、残りはほぼ「5」だったという。 石橋では1年春の栃木大会でベンチ入りし、夏は遊撃手の背番号「6」をつけた。現チームから投手もこなし、打線では4番に座る大黒柱だ。昨秋の公式戦は投手として5試合中4試合に登板し、17回を投げて防御率2・12。4番打者としては打率3割6分8厘、7打点という成績を残した。 昨秋の栃木大会で4強入りしたチームは21世紀枠で選ばれ、春夏通じて初の甲子園出場を決めた。「両親もめちゃくちゃ感動で喜んでいます。自分が入るチームが全国大会で優勝して、今回は甲子園にも行けるから、ついているなって言われます」。強豪私学ではないが、入学1年目で甲子園への扉を開いた。 自身を「絶対に決めてやるという気持ちでいけるタイプ。4番は自分に合っている」と分析する。初戦の2回戦は能代松陽(秋田)が相手となる。今度は石橋にとって歴史的な甲子園初勝利を引き寄せるつもりだ。【浅妻博之】