宮古島と伊良部島で食べた郷土料理には、イタリアと意外な共通点があった
日々新しい発見や学びが生まれることの喜び
今回は沖縄そばではなくソーキそばにした。ソーキそばは沖縄そばの種類の一つで、二つの違いはトッピングのお肉の種類と味付けだそう。沖縄そばは豚バラ肉が乗っていて、かつお出汁が使われている。そして、ソーキそばは豚のスペアリブと肉の出汁の組み合わせだ。
いただいたソーキそばは、アルデンテのようなスープパスタと立派な豚肉料理を同時に食べているような感覚。ここでピエモンテ料理を思い出したのだ。沖縄料理によく出るお肉の煮込みは、ボリート・ミストという、いろんなお肉を一緒に茹でたピエモンテ州の郷土料理に似ている。 ボリート・ミストはわかりやすくと言うと、「イタリアのお肉のおでん」だ。今回食べたソーキそばは、このボリート・ミストに麺が入ったバージョンのようで、僕にとって懐かしく感じる料理だった。まさか沖縄の郷土料理で故郷を思い出すなんて、料理とは不思議でたまらない。 沖縄では料理、空間などのすべてが穏やかに感じられる。食べたことがない料理、初めて見る言葉、聞いたことがない音楽。長く日本に住んでいても未だに新しい発見や学びが生まれることの喜びを、ここ沖縄では得られるのだ。この気持ちは日本人も同じかもしれないね。こんな喜びを大事にすれば、どこの国でもどんな料理に対しても無敵な心持でいられるよ。
● マッシ
本名はスガイ マッシミリアーノ。1983年、イタリア・ピエモンテ州生まれ。トリノ大学院文学部日本語学科を卒業し2007年から日本在住。日伊通訳者の経験を経てからフードとライフスタイルライターとして活動。書籍『イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ』(KADOKAWA)の他 、ヤマザキマリ著『貧乏ピッツァ』の書評など、雑誌の執筆・連載も多数。 日伊文化の違いの面白さ、日本食の魅力、食の美味しいアレンジなどをイタリア人の目線で執筆中。ロングセラー「サイゼリヤの完全攻略マニュアル」(note)は145万PV達成。
文・写真/スガイ マッシミリアーノ 編集/森本 泉(Web LEON)