宮古島と伊良部島で食べた郷土料理には、イタリアと意外な共通点があった
イタリア生まれのフード&ライフスタイルライター、マッシさん。世界が急速に繋がって、広い視野が求められるこの時代に、日本人とはちょっと違う視点で日本と世界の食に関する文化や習慣、メニューなどについて考える連載です。 イタリア人マッシの「思考する食欲」
「サイゼリヤの完全攻略マニュアル」(note)でおなじみのイタリア人ライター、マッシさんが、今回は宮古島に旅行に行って体験してきた沖縄料理の思い出を語ります。
沖縄は日本語が通じる海外? と何度も思った
飛行機に乗って南へ向かう。到着して機体を降りた瞬間、気持ちいい暖かさに抱きしめられているようで、穏やかな心になる。既に冬を感じる金沢の寒気と比べると、本当に11月末なの? と同じ国にいるのか分からなくなる。だから、沖縄は憧れだよね。 今回訪ねたのは、海の透明感が魅力の宮古島だ。年中過ごしやすい天候とジャングルのような濃い緑の植物、まったり感がある島の日常生活を見て、日本語が通じる海外だと思ってしまった時が何回もあったよ。このような気持ちは読者も体験したことがあるよね?
宮古島と伊良部島に滞在中食べた郷土料理は、イタリアと意外な共通点があると改めて目が覚めるような思いがした。普段、「イタリア料理」とか「日本料理」という言葉を使いがちだけど、実はイタリア料理も日本料理も存在しないことを知っているよね? 沖縄で食べた素晴らしい料理の数々は僕が住んでいる石川県ではほとんど目にしたことがなく、石川県の料理も沖縄にないことがほとんどだ。 すべての料理を「日本料理」と一括りにするよりも、「郷土料理」としてその地域の食文化と歴史、アイデンティティを意識することが大事だと思わない? 調理方法と食べ方を守ることで、日本国内を回っていても海外旅行をしている気分になるのよ。「日本料理」という考え方を「郷土料理」と変えるだけでこんなに楽しめるなんて。言葉にならないほど新発見ができるから、みなさんもぜひやってみてほしい。
もずくが天ぷらになるのはびっくりするよね?
島巡りをして気がついたのは、多くの飲食店が普通の住居のように見えること。店に着いたはずだけど、それが合っているかどうかドキドキする。この流れで、伊良部島の砂糖きびに囲まれている居酒屋に入った。メニューを読み出したら「え? これは何?」「こんな使い方もあるの?」と驚きの連続だった。お通しとして生もずくが出てきたのだけど、外国人から見ると「これが食べ物になる?」と思うことが多いだろう。しかも沖縄では、もずくを天ぷらとして調理することもある。天ぷらといえばエビ天などのイメージがあるけど、もずくが天ぷらになるのはびっくりするよね? なんこつソーキも頼んだらなんと、ネギだけではなく紅生姜も乗っていて彩りが非常に美しい! お肉だけではなく出汁も飲んで味わう料理ということで、食材を隅から隅まで楽しめる。お肉の柔らかさはもずくの天ぷらと同じで沖縄の島暮らしを感じた。なぜかというと、シンプルな調理で手間ひまかけるところにまったり感が伝わるから。食べた後に口に残る塩分は、まろやかで沖縄の海を感じる。