今夏の富士登山、一体どうなる?通行料2千円に上限4千人、予約システム…新ルール続々で周知が課題 弾丸登山やマナー違反、改善なるか
例年、御来光の時間帯には山頂に大勢の人が滞留する。前の人がなかなか進まないことで、通常のルートから外れて回り道する人が出てきて、落石の危険性があった。そこで山梨県は、ゲートを通過できる人数を1日当たり4千人までと決め、上限に達した時点でゲートを閉鎖することにした。 ④午後4時から午前3時は原則通行不可 夕方から未明まではゲートが閉鎖される。ただし山小屋に宿泊予約している人は、スマートフォンや印刷した紙で予約していることを証明できれば通行できる。 これは、御来光を見るために宿泊せずに夜通し登る「弾丸登山」を防ぐためだ。暗くて寒い夜道を休まず歩くことで、高山病やけがのリスクが高まるとされる。 「富士登山オフィシャルサイト」では、日帰り登山をする場合は、午前6時に登り始め、正午過ぎに登頂し、夕方下山するコースを紹介している。御来光を見たい場合は、正午頃にゲートを出発する。夕方、山小屋に到着して就寝。午前0時過ぎに山小屋を出て、明け方、御来光を臨む。
▽静岡の登山道は 3ルートがある静岡県側では、従来の保全協力金千円以外の支払いは求めない。午後4時以降、山小屋の宿泊予約の確認をし、予約していなければ登山の自粛を呼びかける。社会実験として、任意で登山計画などを事前登録するシステムを始める。 山梨県が同県側の登山道を県有施設と位置付け、その使用料として通行料を徴収するのに対し、静岡県側の登山道は県有地ではないため調整が難しいという。 ▽各地で導入進む通行料や訪問税 山梨県は富士山の通行料2千円を、噴火時の避難先となるシェルターの整備や、5合目に設置するゲートの設置費などに充てる予定だ。 オーバーツーリズム対策や、観光インフラの維持管理のために財源を確保する動きは各地で広がっており、観光地訪問や宿泊で「入山税」「訪問税」といった名目の法定外税を条例で設ける自治体は多い。 世界遺産・厳島神社がある宮島を有する広島県廿日市市は昨年10月から、島への訪問者1人当たり100円の「宮島訪問税」を、フェリー運賃に上乗せする形で徴収する。