今夏の富士登山、一体どうなる?通行料2千円に上限4千人、予約システム…新ルール続々で周知が課題 弾丸登山やマナー違反、改善なるか
対象は小学生以上の観光客で、修学旅行生は免除。2024年度は来島者450万人で3億5千万円の収入を想定し、渋滞対策やトイレ整備などに充てる。 年間約150万人が訪れる世界遺産・高野山がある和歌山県高野町も、観光客から徴収する「入山税」などを想定した法定外税を28年度までに導入する方針だ。 年間4千万円を超えるトイレや駐車場の維持管理費は、町と高野山真言宗総本山金剛峯寺が負担しており、人口3千人弱の町に重荷となっていた。 ▽麓でも混雑…富士山隠しの黒幕設置 富士登山のルールが打ち出される一方、富士山の麓に目を向けると、こちらでもオーバーツーリズムによる課題が問題になっている。 山梨県富士河口湖町では、「コンビニの屋根に富士山が乗っかったように見える」と人気になった写真映えスポットに、訪日客らが殺到。道路の横断やゴミのポイ捨てが相次いだ。 多言語で注意を促したり警備員を配置したりしても改善されず、富士河口湖町は5月、歩道から富士山を見えなくする巨大な黒幕を設置した。観光のシンボルを隠すという異例の対応が話題となり、海外メディアも次々と報道した。
ただ、さっそく黒幕に穴が空けられる被害が発生。設置した歩道そばのコンビニからほど近い、別のコンビニで写真撮影する観光客が増えてきているといい、イタチごっこになる可能性もありそうだ。 ▽「地元や利用者に丁寧に説明を」 山梨県が打ち出した登山ルールについては、県が地元に具体的な内容を説明する時期が遅れ、山小屋関係者からは「現場は大混乱だ」といらだつ声が上がった。 上智大大学院の柘植隆宏教授(環境経済学)は、「通行料2千円は、来訪者の抑制に一定の効果が見込まれるが、円滑な導入のため、金額の根拠を丁寧に説明する必要がある。地元や利用者の理解や納得がないままでは、今後の県の登山対策にも影響しかねない」と指摘する。 「山梨県は(通行料や通行規制といった)対策を打ち出すスピード感と、合意形成とのバランスに苦慮したと思う。まず始めてみて、進めながら内容を見直すという手法も考えられる」と理解を示しつつ、「(通行料の導入予定がない)静岡県側に人が流れることも予想される。山梨、静岡両県がそれぞれの対策の成果や影響をよく分析し、協力して課題に向き合うことが重要だ」と話している。