《独自》【みのもんた・後編】話術の「極意」を継承「しゃべり手とは…」
◆みのさん: 十分出来てると思いますよ。「緩急」というのがあるからね。その「緩急」をうまく利用できれば、いいんじゃないの。 「しゃべり手」の「名人」と言われてきた人が、過去に何人もいるけれども、芥川隆行さんは「名人」の1人。「間」の取り方が絶品だったよね。 僕らはラジオの時代だから、本当にラジオの前に座りましたよ。吸い寄せられるみたいに。 「宮本武蔵」という小説があって、それをラジオで「語り」をやっていて吸い込まれたね。見事だったね。 だから、ずいぶん真似をしましたよ。僕、文化放送に入って真似しましたよ。でも、真似しても出来なかった。 (芥川隆行さんは)ドキッとする様な「間」を空ける。一番びっくりしたのはね。「そのとき」といきなり言うのよ。 「そのとき……」ずっと「間」を空けて、「ラジオが壊れたのかな?」と思わせておいて…「武蔵は」。 これは真似した。 「そのとき…」1、2、3、4、5、6、7、8、9、(「間」をあけて)「武蔵は」。 …“なんだよ”と思ったよね。だけど、そこにいっちゃうんだよね。でもね、真似してもできないね。 古舘くんの「しゃべり」は、速射砲のようだけど、彼が「間」をうまく使ったら、それこそ、もっと違う「しゃべり」が出てくるかもしれないよね。 関口宏さん、僕の1年先輩だけど、あの方も、見事だよね。やっぱり関口さんはすごい「しゃべり手」なんだなと思うよね。 「しゃべり」なんだけど、「しゃべってない」んだよ、すごいよね。 そういうの見ちゃうわけ。真似しようとしても、出来ないんだよ。 ◆井上アナ: 「しゃべり」に対しての思いを語る、みのさんは顔が変わりますよね。 ◆みのさん: 「しゃべり」って大事だもんね。 「しゃべり」でも、丁寧に「お」をつけられると「おしゃべり」。余計な話になっちゃうんだよね。 だから、お金をとるのは「しゃべり」だろうね。いくらしゃべっても「無駄なしゃべり」は「おしゃべり」かな。 ◆みのさん: よくね、「お前はしゃべりすぎだよ」という人がいるけど、「しゃべる」っていうのはね、大変なことですよ。だから、その「しゃべり」で生きていくというのはね、素晴らしいことですよ。