歯科医が回答!食いしばりなぜ起きる?どうやったら治る?【働く30代が知っておくべき歯のすべて】
Q.治療としてどんな方法がありますか?
A.対症療法としてマウスピース、そのものを止めるならボトックス。 「手軽なのはマウスピース療法ですが、一般的には食いしばりによる歯への負荷を軽減するものであり、食いしばるあごのクセ自体を治すものではありません。根本から治したいなら、ボトックスで咬筋を萎縮させて食いしばる力を抑制するのが効果的。まずは歯科医院で相談を」
小川先生のクリニックでは、奥歯部分に厚みを持たせたマウスピースを採用。食いしばりによる負荷を分散させ、歯への負担を軽減する。
Q.マウスピース矯正を始めたら食いしばりが起こるようになったという人が。関係はあるのでしょうか?
A.マウスピースへの過剰な意識が原因かも? 「あくまで私の持論ですが、これまでなかったものを装着することで意識がマウスピースに集中し、力が入ってしまうのかも。矯正用と食いしばり対処用ではマウスピースの構造が異なるので、食いしばり対処用のもので症状が悪化するということはほぼありません」
Q.改善するために自分でできることは?
A.舌トレーニング&マッサージを! 「まずは上下の歯が触れ合わないように意識をして。そのためには、舌を上あごについた状態をクセづけるのが効果的。また、硬くなった咬筋をほぐすことであごに力が入りにくくなるので、もみほぐすようにマッサージをするのもおすすめです」
[舌トレーニング] 舌先を上の前歯裏につけたら、舌に力を入れて上あごを持ち上げるようにして5秒間キープ。これを5回ほど繰り返す。
[マッサージ] 咬筋とは口を開けたときに動く耳前の筋肉のこと。ここを円を描くようにマッサージして、コリ固まった筋肉をゆるめる。
Q.顎関節症と食いしばりは関係がありますか?
A.あります! 「食いしばりで筋肉が硬くなることで顎関節がスムーズに動かなくなり、筋肉の痛みや関節の違和感を覚えることも。顎関節症になると口を大きく開けなくなったり、開いたときに音がしたりと、様々な障がいが出るので、早めにクリニックに相談しましょう」
イラスト/ツルモトマイ 取材・原文/野崎千衣子 ※BAILA2024年6月号掲載