SNS は本当につまらない場所なのか?ユーザー心理とプラットフォームの本質を問い直す
国内での近年の動向
国内の、主なSNSの動向をおさらいしていく。 【Facebook】広告リーチが減少傾向。ユーザーの好みやプラットフォームのエンゲージメントの変化が影響しているのではないか。2023年初頭の時点で、Facebookの広告リーチは日本の総人口の12.2%に相当しており、ほかのプラットフォームと比較して控えめな存在感を示している。 【YouTube】2023年初頭には、7840万人のユーザー数を記録。影響力のあるマーケティングとコンテンツ作成で重要な役割を果たしている。 【インスタグラム】日本で4570万のユーザー数を持ち、若い世代と女性に強い視覚文化の親和性を示している。リールをはじめ、新機能のアップデートも行われユーザーの滞在時間も伸びている。 【TikTok】2023年初頭までに日本では2070万ユーザーに拡大し、若年層(特に、10~20代)の大きなシェアを獲得。しかし現在、米国での事業を売却しなければ国内でのアプリ配信禁止するなど、国によってアプリの規制対象にもなっている。 【X】日本のソーシャルメディアシーンの要。ニュースや情報が匿名での表現できるため、現在プラットフォームとしての正確性やアルゴリズムに関して疑問を感じるとの声もある。
「バズ」重視のトレンドとユーザー心理の影響
また、定性的なSNSの変化は、定量的な数値の成長に比べやや雲行きの怪しいニュースが飛び交っている現状もある。昨今SNSでの戦いは、コンテンツドリブンな「映え」要素より、アルゴリズムドリブンな「バズ」をいかに行えるかという2つがある。 「バズ」にフォーカスしたSNSトレンドが多く見られ、コンテンツの手法はある程度決まってきたように思う。 ユーザー心理として、「より見られるコンテンツ」を配信したい気持ちにかられるプラットフォーム上の仕組みが要因といえる。TikTokやインスタグラムのリールなどのショート動画は、「既存フォロワーにリーチ」する仕組みではなく、「新規の潜在フォロワーにリーチ」しやすい仕組みとなっている。つまり、コンテンツをより見られる確率が高まるというわけだ。 多くを求めて、いつしかどの程度多く見られるか? と無意識のうちに期待値も高くなった状態で、投稿後の反響を気にしながら投稿していくユーザーも多く見受けられる。過度な露出をする、炎上につながる危うい投稿をするなど、モラルに反する行為がSNS上での注目を集める「ネタ」になり得るというリスクを高める現象が生まれた要因といえる。 SNSは本来誰のための、どんな道具で、どのような影響をもたらすことができるのかは、今後も議論が必要だと考えられる。また、プラットフォームの著しい変化に伴ったユーザーリテラシーもまだ追いついていない現状もある。 コンテンツ配信側とコンテンツを受け取るユーザー双方に対し、SNSの本質がより問われる時代へと突入していくのではないだろうか。