交渉舞台裏…なぜ堂安律は森保Jに合流できなかったのか?
ブレーメンとビーレフェルトだけが、所属選手の日本代表への派遣を拒否しただけではない。本拠地を置くニーダーザクセン州が隔離を含めた検疫措置を導入した、ブンデスリーガ2部のハノーファー96も所属するMF原口元気とDF室屋成の日本代表への派遣に難色を示している。 トルコ出身のケナン・コジャク監督が現地時間5日に臨んだ記者会見で、このタイミングで国際親善試合を含めた活動を実施する日本代表を「非常に無責任で、いま現在の状況には当てはまらないと思っている」と批判したと、ドイツ紙『ディ・ラインプファルツ』が報じている。 「場合によってはもっと重要なこともある。人々の健康を越えるものは何もなく、現状ではパンデミックとの戦いの上には何も存在しない。選手たちがこの先2週間クラブに残り、代表チームの活動に参加しなければ、新型コロナウイルスに感染するリスクは少なくなる」 オーストリア遠征に招集されている原口と室屋に関しては、日付が8日に変わった時点でハノーファー96からも、そしてJFAからもアナウンスはない。それでもブレーメンとビーレフェルトが選手派遣を拒否した情報は、ブンデスリーガのクラブ内ですでに共有されているはずだ。 MF遠藤航が所属するシュトゥットガルトが本拠地を置くバーデン=ヴュルテンベルク州も、MF鎌田大地が所属するフランクフルトのヘッセン州も、すでに検疫体制を強化している。ドイツ再入国後の隔離が不可避である以上は、ハノーファー96を含めた3つのクラブが、ブレーメンやビーレフェルトに追随しないとも限らない。あるいはパナマ戦だけで離脱する形が取られるかもしれない。 早い段階で対戦が決まっていた、FIFAランク11位の強豪メキシコがオランダへ入国できない状況を受けて、前回のユトレヒト以外での場所を探した今年最後の代表活動。ロックダウンが実施されているオーストリアは、プロスポーツに限っては無観客であれば禁止事項の対象外になっている。 特にグラーツでは11月の国際Aマッチデー期間でメキシコ対韓国代表など、日本戦以外にも3つの国際親善試合が組まれている。オーストリア政府およびグラーツ市、そしてオーストリアサッカー協会の理解と後押しもあって、マッチメークとヨーロッパ組に限定されたメンバー発表にまでこぎ着けた今回の遠征だが、全スケジュールを終えるまではさらなる紆余曲折が待っているかもしれない。 (文責・藤江直人/スポーツライター)