交渉舞台裏…なぜ堂安律は森保Jに合流できなかったのか?
ドイツでは新型コロナウイルス感染防止策として州ごとに厳しい措置が講じられていて、ビーレフェルトが本拠地を置くノルトライン=ヴェストファーレン州でも今月から、それが導入された。 例えば堂安が日本代表として日本時間13日深夜のパナマ代表戦、同18日早朝のメキシコ代表戦に臨んでドイツへ再入国した場合、隔離措置が取られる関係で同21日に行われるバイヤー・レバークーゼンとのブンデスリーガ第8節には出られない。戦力面で大幅ダウンが生じる事態を避ける意味でも、クラブとして主力の堂安を含めた5人の選手派遣に難色を示したことになる。 リスク地域からの入国者に対する隔離を含めた検疫措置を、他州に先駆けて10月上旬から導入したのはブレーメン州だった。 日本代表はオランダ・ユトレヒトで先月に今年初の活動を行っているが、5日の合宿初日を前にしてユトレヒトがリスク地域に指定されている。こうした状況を受けて、FW大迫勇也が所属するブレーメンからJFAの担当者に緊急の連絡が入った。 「日本代表への招集を断ると言ったら少し言葉が強すぎるかもしれませんけど、当初は『今回は大迫を派遣できません』という話もありました」 ブレーメンとの間で10月最初の週末に慌ただしく繰り広げられていた、フォワード陣の中心として招集されていた大迫をめぐる交渉の経緯を、JFA関係者はこう明かしたことがある。 「日本代表チームとしてもそうですし、大迫自身も日本代表としてプレーしたいという意思をブレーメン側へ伝えてくれて、そのなかで折衷案というか妥協点というところで着地したのが、1試合目を終えた段階でブレーメンに帰ることでした。それであれば再入国後の5日間の待機をへても、週末の試合には間に合うということで、ブレーメン側も理解してくれました」 大迫は10月9日のカメルーン代表戦で、先発フル出場した後に日本代表を離脱。5日間の自宅待機をへてブレーメンに合流したが、コンディションなどの問題で同17日のフライブルク戦でベンチにすら入らなかった。こうした経緯もあって、大迫は今回のオーストリア遠征に招集されていない。関塚隆ナショナルチームダイレクターは、大迫に関してこう言及している。 「今回も感染予防対策から呼べない選手がいた。それはブレーメンの大迫選手で、ドイツへの入国後に制限があるということで、今回は断念ということになりました」