半世紀「塩漬け」状態だった四国新幹線 瀬戸大橋経由で一致した「岡山ルート」の行方
■新幹線という武器を
ようやく地元の方向性が一致した四国新幹線。誘致が実現すれば、どのような効果がもたらされるのだろうか。
期成会の前身ともいえる「四国の鉄道高速化検討準備会」が平成26年に取りまとめた調査報告書によると、各県庁所在地から新大阪までの所要時間は徳島1時間35分(1時間18分短縮)、高松1時間15分(29分短縮)、松山1時38分(1時間52分短縮)、高知1時間31分(1時間44分短縮)。四国の都市間移動も大幅に改善され、3時間以内で中京圏や九州へ行くことも可能になる。
沿線の経済波及効果は試算で最大年間169億円。実際に九州新幹線博多-鹿児島間は平成23年の開業後、観光客の呼び込みなどに成功し、開業前と比べ区間内の輸送人数も増加。主要駅周辺では再開発が進み、地価も上昇している。
事業費は1兆5700億円を見積もる。ただ、その多くは国費により賄われ、実質の地元負担は2割以下にとどまるという。
「四国だけが新幹線という武器なしで地域活性化などに取り組まざるを得ない状況」(浜田省司・高知知事)、「既存路線の維持存続のためにも収益事業たる新幹線がないと四国の鉄道は将来像が見えない」(中村時広・愛媛県知事)、「北海道、北陸、九州の整備が終盤に入り、いよいよ着手する段階だ」(池田豊人・香川県知事)と各県の知事もその必要性を強調する。
佐伯会長は「基本計画から昨年で50年。各県の足並みがそろい、政府は骨太の方針で一歩踏み込んだ表現をしたこの時期に一気に進めたい。地域の人々の大きな盛り上がりを国に伝えたい」と話した。(前川康二)